韓国で小室眞子さんの一時金受け取り辞退が評価され、「文在寅一家」が批判されるワケ

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大統領の娘が祖国を捨てるなんて

 不動産を購入したくても買うことのできない若者が増加するなか、文大統領は大統領選で「住宅価格の安定を実現させる」と公約に掲げていた。しかし、価格は安定するどころか政権発足後4年で2倍に膨れ上がり、まさにバブルの様相を呈しており、バブル崩壊も近いとまで危惧されている。

 それなのに自分はと言えば不動産で不正に儲けようとしていたというのであれば、国民が怒るのも無理はない。

 が、一連の不動産取引をめぐる批判に対して文大統領は、謝罪をするどころか「みみっちくて、恥ずかしい」などと歯牙にもかけないスタンスを貫いてきた。不当な利益を貪っていると指摘してきた人たちを刺激したのは言うまでもない。

 批判の矛先は大統領の娘・ダヘ氏にも向かっている。彼女は2018年4月、夫名義のソウル市内にあるマンションの贈与を受け、その3カ月後にこれを売却して一家でタイに移住した。19年5月には、ソウル市内の住宅を購入したものの、帰国後に入居しないまま21年2月に売却。

 それ自体は通常の売買かもしれないが、持てる者だけが得をしているということに違いはなく、父・文大統領の不動産失政の恩恵に浴し、売買益を得たと痛烈な批判を受けているのだ。

 さらに今年11月に入り、娘のダヘ氏が昨年末に移住先のタイから帰国して以降、大統領公邸で生活していることが報じられ、これも国民の怒りを買った。加えてダヘ氏の夫も今年タイから帰国し、最近になって大統領公邸に移ったという。

 ダヘ氏がタイへ移住した当時、韓国民からは

「大統領の娘が祖国を捨てるなんて、ゴミのような国だ」

「文在寅は大統領の任期終了後すぐに公開の場ではずかしめを受けるべきだ」

 などと、口を極めてののしるようなコメントがウェブで散見された。

 小室眞子さんの「一時金辞退」と自国の大統領の問題とを結びつけるコメントが韓国で発せられたのには、こうした経緯があったというわけだ。

 日本では、小室眞子さんの結婚一時金の辞退はさほど好感を持って受け止められているとも言えず、冷静に受け止めているか、当然と思っている人も多いことだろう。

 しかし、結果的にその振る舞いは、小室夫妻の思惑とまったく関係なく、隣国の大統領の身勝手さを際立たせる役割を果たしたようだ。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮編集部

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