野党劣勢を見誤った情勢調査の限界 電話調査が機能しないことが一因か

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出口調査もアテにならない

 全国紙の政治部デスクは、

「ここまで調査がハズれるのも珍しい」

 と頭を掻く。

「電話調査が機能しにくくなっているんです。電話調査の対象には携帯も含まれますが、そもそも若者は知らない番号は無視してしまう。保守政党支持の傾向が強いといわれる若年層の動向が正確に反映されないのです」(同)

 これは電話だけに限らず、

「投票した直後にアンケートに答える出口調査も然り。回答してくれるのは政治意識の高い人たちが多く、必然的にリベラル政党の支持が高く出る。結果、日本維新の会の躍進も読み切れず“立・共が反自民の受け皿に”という旧来の見立てから離れられなかった」(同)

 垣間見えた“調査の限界”がついに顕在化した形。そのおかげで翻弄される選挙区も続出した。

 例えば、2009年以降、4期連続で立民の篠原孝・元農水副大臣が当選してきた長野1区。地元紙が「篠原氏優勢」と打つなか、予想を覆して自民党候補が辛勝したのだ。篠原陣営の関係者は、

「“自民が組織票を動員して土壇場でひっくり返された”と恨み節も聞かれますが、実際は半年ほど前から追い上げられていた。それに薄々気づきながらも、情勢調査で“優勢”が出ていたことに油断したのです」

 権威あるメディアの数字、信じるのはほどほどに。

週刊新潮 2021年11月18日号掲載

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