共産党との関係を解消しない限り政権交代は不可能か 立民が支払った代償とは

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革命政党の危険な本質

「共産党はトップが選挙に負けて責任を取ったことはありません。だから志位さんも辞めないでしょう。そもそも、共産党には党内民主主義がありません」

 元共産党政策委員長の筆坂秀世氏はそう喝破する。

「共産党では各支部が勝手に連携することは許されず、上部組織からの指示でしか動いてはいけない。つまり、横のつながりが禁じられ、縦方向の連携しか存在しないのです。また、絶大な権力が集中する党役員は規約上、党大会の選挙で決まりますが、候補者の名簿は前執行部が作成している。要は、前任者のお手盛りで決まるわけで、こんな非民主的な選挙はない。公然と派閥を作って総裁選を行う自民党の方がよっぽど民主的だと思います」

 実際、〈表紙だけ変えても、中身は変わらない〉と岸田政権を批判した志位氏は、20年以上、共産党委員長の座に君臨し続けている。

 さらに、共産党を語る上で避けて通れない問題もある。公安調査庁は、以下のような見解を示す。

〈共産党は、武装闘争を唯一とする戦術を自己批判しましたが、革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは敵の出方によるとする「いわゆる敵の出方論」を採用し、暴力革命の可能性を否定することなく、現在に至っています〉

共産党にとっては多くのうま味が

 総選挙前の9月8日、志位委員長は“敵の出方論”について、「ねじ曲げた悪宣伝に使われる。この表現は使わないことを明確にしたい」と述べた。しかし、これを受けて加藤勝信前官房長官は、「志位氏の発言によって、政府の認識は何ら変更するものではない」と従来の見解を繰り返している。

 佐藤優氏が改めて説く。

「重要なのは共産党が“普通の政党ではない”という点です。日本共産党は1922年7月15日、モスクワに本部を置くコミンテルン(国際共産党)の日本支部として非合法に設立され、来年で創立100年を迎えます。そして、発足当時から革命を放棄したことは一度もありません。共産党はいまも社会主義・共産主義社会を目指す革命政党なのです。その危険な本質を最も理解していないのが、他ならぬ連携相手の立憲民主党であることは、皮肉という他ありません」

 その一方で、

「共産党にすれば、共闘には多くのうま味がありました。これまで同様、全国の小選挙区に候補者を擁立すると巨額の供託金が没収されかねませんが、“お金がないので一斉擁立を取りやめる”とは言えない。その意味で、野党共闘に加わることは“渡りに船”だった。また、共産票で当選した立民候補は少なくないため、さまざまな局面で立民が忖度を迫られる可能性もある。両者が完全に関係を断ち切るのは難しいのではないか」(同)

 共産党との関係を解消しない限り、眼前に広がる道の先に“政権交代”というゴールは見えない。

 それどころか、禁断の果実を口にした立民は、もはや存在意義そのものを失おうとしているのである。

週刊新潮 2021年11月18日号掲載

特集「醜き野合『立憲民主党&共産党』はもういらない」より

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