立憲代表選 枝野失脚、「玄葉光一郎」不出馬に党内から安堵の声が漏れる理由

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「野党再編」に動いた玄葉

 玄葉の同期や先輩は民主党政権のイメージが強く、それより若い議員ではないと刷新感が出てこない──というわけだ。

「もし玄葉さんが代表選に出馬し、新代表に選ばれたりしていたら、多くの有権者は『代わり映えのしない代表だ』と呆れたでしょう。多くの有権者からすると、岡田さんも玄葉さんも、そして蓮舫さんも、“民主党政権の悪夢が蘇る政治家”でしかありません」(同・関係者)

 2017年9月、東京都知事の小池百合子(69)は、国政進出を念頭に政党「希望の党」を結成した。民主党の後継政党だった民進党が合流を決めたが、小池の「排除の論理」が大きな注目を集めた。

 玄葉は合流を拒否して無所属となった。福島県の地元紙である福島民報は18年4月、「玄葉氏、民進離党へ 『国民民主』に参加せず」の記事を掲載した。

 玄葉は無所属を選択した理由として「(野党)再編は途上であり、自由度の高い無所属の立場でいた方が(政権奪取に向けた)自分の役割を果たせる」と説明した。

 20年9月に立憲民主党と旧・国民民主党が合流すると、玄葉も立民に入党した。

共産党との“野合”

 この頃には共産党を含む野党共闘も現実味を帯びていた。「野党再編で自分の役割を果たしたので、無所属を止めて政党に入る」という選択は、少なくとも表面的には筋が通っていた。

 だが、前出の立民関係者は「そんな綺麗事だけではありません」と否定する。

「玄葉さんが立民に入党したのは、選挙対策の面があったことは明らかです。無所属では比例復活ができません」

 玄葉は憲法改正の議論本格化には賛意を示しているほか、TPPや原発稼働も必要だとしている。本来なら共産党との野合を批判してもおかしくない。

「純粋な政治的スタンスだけを見れば、玉木雄一郎さん(52)の新・国民民主党に合流してもおかしくない人です。主義主張を曲げて立民に入ったのは、今回の総選挙では相当な危機感を持っていたからでしょう」(同・関係者)

 玄葉が10選を果たしたのは冒頭で見た通りだ。だが自民党前職の上杉謙太郎(46)も2回目の比例復活を果たした。玄葉は約9万票、上杉は約7万6000票という結果だったが、注目すべきは前回との比較だ。

 上杉は1万6000票も上乗せしているのだ。玄葉は決して盤石な選挙戦だったわけではない。むしろ危機感を持っていたことが浮き彫りになる数字だ。慌てて立民に参加したとしても不思議はない。

悪夢の象徴!?

「こうして玄葉さんの軌跡を振り返ると、彼が“悪夢のような”民主党政権のイメージを持つ最後の政治家であり、今回の野党共闘が有権者に嫌われたメカニズムを明かす、一種の“象徴”だったことが分かります。七奉行のうち最も若い玄葉さんが代表選に出馬しないことは本当によかった。立民が更なる世代交代を進められるか否かが、有権者の支持を回復できるかの分かれ目と言っていいでしょう」(同・関係者)

註1:クローズアップ:立憲・枝野氏辞任へ 「創業者」退場、立憲出直し 共産との距離、代表選争点(毎日新聞・11月3日朝刊)

註2:「江田さんやってくれ」立憲代表選への出馬促す声 グループで会合(朝日新聞・11月9日朝刊)

デイリー新潮編集部

2021年11月15日掲載

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