「今冬はインフルが猛威」は本当か インド、バングラデシュで大流行

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「第6波に至らないことも」

 ところで、コロナ患者を受け入れている現場では、

「これまで通り、医療関係者は全身防護服を着て、患者さんの動線は、ほかの患者さんと接触しないように分けています」

 と、浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師。病室に出入りするたびに、防護服を着たり脱いだりするのは、大きな負担になると容易に想像がつくが、一度クラスターが発生した医療機関では、なかなか踏ん切りがつかないという。そうであっても、

「第6波が来ても、感染者の中心はワクチンを打っていない12歳未満や、未接種の10%の高齢者、接種後時間が経った医療関係者のブレークスルー感染で、5波より規模がだいぶ小さくなるでしょう。また、12歳未満やブレークスルー感染者は、ほとんど重症化しないので、病床もあまり圧迫しないと思います」(同)

 寺嶋教授も言う。

「6波がどうなるか。今後、ワクチン接種率をどの程度上乗せできるかにかかっています。3回目のブースター接種がどの程度できるかも、鍵になるでしょう。ただ、イスラエルやイギリスで感染者数が再び増えたのは、マスクをしているかという感染対策の要因が大きいと思う。日本も段階的に制限解除していますが、マスク着用のおかげで、現状、ぶり返していない。諸外国を見ても、マスクなどの感染対策とワクチンの両輪が必要でしょう」

 イスラエルの感染者数は、このところ1日あたり千人を切っているが、934万人という人口を考えれば、少ないとはいえない。片や、イギリスは1日の感染者数が5万人を超える日もある。それでも、重症者や死者が少ないので、再び行動制限を課す予定はないようだが。

 とまれ、これらの国にくらべれば、日本の現状は優秀というほかない。事実、マスクの効果は大きく、

「CDC(米疾病予防管理センター)によれば、デルタ株では、まったく感染対策をしなかった場合、基本再生産数は1人につき5~9人ですが、マスク着用や距離の確保で1~3人に減る。また、制限の解除で再生産数が増えても、ワクチン接種が進めば、増えた分を打ち消して再生産数を減らしていける。うまくいけば、第6波はかなり小さいものに抑えられるし、第6波に至らないことも考えられます」

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