ベトナムに勝利でも日本代表の戦いぶりには失望…森保采配のあまりに多すぎる問題点

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 ハノイ市郊外にあるミーディン・スタジアムといえば、2007年のアジアカップで日本が主戦場にしたスタジアムである(大会は4カ国の共同開催だった)。

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 この大会でオシム・ジャパンはグループリーグ第3戦で地元ベトナムと対戦し、遠藤保仁や中村俊輔らのゴールで4-1と快勝した。

 あれから14年が過ぎ、両チームの実力が進化したのは間違いないとしても、日本の戦いぶりには失望させられた。

 この試合の成果をあげるとすれば、ノルマである勝点3を取れたことと、オマーン戦に向けて日本の秘密兵器になるかもしれない三笘薫と、ベンチに入れなかった上田綺世、旗手怜央、現在Jリーグ得点王の前田大然らを温存できたことの2つしかない。

「勝ったチームはいじくるな」とはサッカーに限らず言われることだ。その言葉通りというか、森保一監督は移動のトラブルで合流が遅れた吉田麻也、冨安健洋、伊東純也、守田英正、南野拓実の5人をスタメンで起用した。コンディションに問題がないと判断したのだろう。

 指揮官も「遅れてきた選手が良い顔をしていた。疲れている様子はなかった。練習を1日やることで十分できるだろうな」と起用した理由を試合後に話していた。

 唯一オーストラリア戦と変えたのは、Jリーグで負傷した酒井宏樹に代わり山根視来を右SBに起用したことだ。

勝つ必要があるオマーン戦

 代表でのキャリアは室屋成の方が上だが、4-3-3のインサイドハーフに田中碧を起用するため、川崎Fでのコンビネーションを優先したのだろう。これは納得できる。

 代わり映えのないスタメンではあるが、指揮官がベストメンバーと考えるなら納得せざるを得ない。

 そして後半の選手交代も右SB中山雄太、左FW浅野拓磨、CF古橋亨梧、右MF柴崎岳の4人はオーストラリア戦と同じ人選だった。彼らがスタメンに続くバックアッパーという位置づけも、この2試合で強く印象づけられた。

 そして1-0の僅差ではあるが勝点3を獲得し、前述したように三笘ら“ジョーカー”を温存できたことは、オマーン戦に向けて大きなアドバンテージと言っていい。

 それに拍車を掛けるように、首位のサウジアラビアと2位のオーストラリアは0-0で引き分け、3位のオマーンと5位の中国も1-1のドローに終わった。

 この結果、日本は勝点9でプレーオフ進出圏内の3位に浮上し、首位のサウジアラビアとは4勝点差、2位のオーストラリアとは1勝点差に迫った。次のオマーン(勝点7)戦はいわゆる「6ポイントマッチ」で、勝てば勝点差は5に広がる。

 このためオマーン戦はアウェーとはいえ、絶対に勝たなければならない試合である。負ければ再び4位に転落するだけでなく、上位2チームにも大きく引き離される可能性があるからだ。

 森保監督は1勝2敗で迎えたオーストラリアとの試合で、戦い慣れた4-2-3-1を捨て、4-3-3で結果を出し、それは僅差の勝利とはいえベトナム戦でも成果を収めた。次に指揮官が問われるのは、“ジョーカー”を使う勇気があるかどうかだろう。

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