前代未聞の「関西スーパー」株主総会 「OKストア」が経営統合“差し止め処分”申請の全内幕

ビジネス 企業・業界

  • ブックマーク

Advertisement

あってはならぬ再集計

「リリースが出された翌9日は早速、関西スーパー株が前日比プラス300円のストップ高となりました。オーケーに期待する株主が動いたためでしょう。これに対して、関西スーパーが反論します。白紙の投票用紙は事前に賛成の意思を示していた株主のもので、本人から白紙で投票してしまったが賛成になっているか確認してほしいと申し出があったため、集計し直したというのです」

 まあ、間違いはよくあること。本人が賛成と言っている以上、認めるしかないのではないか。

「株主総会では、このようなケースは認められません。株主総会の専門家や弁護士も口を揃えてそう言うでしょう。事前にどんな意見を持っていようが、株主総会に出席した以上、その場での意思表示が最優先されます。その株主が申し出たといっても、投票が締め切られた後であることは明らかです。どんな申し出があろうと、当人が投票したのですから、『そうですか、残念でしたね』で終わりのはずなんです。仮に賛成で投票した人が、やっぱり本当は反対したかったと言ってきていたら、それを認めたとは考えられません。そもそも投票締め切り後に口頭で賛否を伝えて認められるようなら、株主総会は成り立ちません。投票用紙で投票させる意味がなくなり、上場会社の株主総会で大混乱が生じます」

 しかも……、

「一度は否決されたにもかかわらず、それを裏で再集計して可決に変わったことについて、何の説明もありませんでした」

OK社長に株主が直訴

「臨時株主総会当日の会場では、『経営統合は正気の沙汰じゃない! 考え直せ!』といった株主たちの怒号が飛び交っていました。そんな中、議長からは、白票は棄権となること、それを望まない人は投票しないように、といった異例のアナウンスがクドいほど流されていたんです。それで、後になって間違っていたと言われてもね」

 納得いかない株主は、臨時株主総会に出席していたオーケーの社長に直訴したという。

「総会が終わった後、オーケー社長はメディアの囲み取材を受けていました。そこに、ある株主が割って入ってきたのです。何を言うのかと思えば、『絶対不正やってますよ! どう考えたっておかしい。閲覧請求してください!』などと、負けたはずのOKの社長に訴えていました」

 そして、事態が動いたというわけである。

「決議方法を中立の立場で調査する総会検査役という立場が、今回ほど注目された例はないかもしれません。総会検査役は今回、いったんは否決されたことを確認しており、その後、関西スーパーの判断で白票が賛成に変更されたために可決になったことを、留意すべき事項として裁判所に報告した。そのことがわかって、オーケーも動き出したのです」

次ページ:関西スーパーは大丈夫か

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。