「茂木・新幹事長」は線香でも公選法違反、“おい、デブこの野郎”と秘書にパワハラ、携帯をへし折って辞めた秘書も(第3回)

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茂木事務所の秘書を名乗る人物

 リストに加え、この証言から、茂木氏自身が線香を携えて遺族を回ったことは明らかだろう。それに加えて、リストにある遺族宅を訪問してみると、「名前はよくわからないけれど、茂木事務所の秘書を名乗る人物」が“日頃お世話になっています”と言って線香を配布していたという証言が得られたのである。例えば以下の通りだ。

記者 茂木さんの秘書が、新盆の時にお線香を持ってきた?

有権者 はい。はい。覚えています。

記者 どんな感じのものですか?

有権者 うーん、普通だったと思いますけど。特別なものではなかったですね。

 別のお宅にもお邪魔してみると……。

記者 茂木さんとは?

有権者夫 年に換算したら1回お会いできるかどうか、かなあ。

記者 代わりに秘書が?

同夫 かもしんねえなあ。秘書さんがいろいろ連絡文とか届けてくれてるけど。

記者 結婚式やお通夜、お葬式は?

同夫 来ねえなぁ。電報は頂いたことあります。秘書の方が来てくれたことはあったかな。初盆も来てくれたかもしんねえ。

記者 手土産などは持ってこず、ですか?

同夫 お線香だったか、かもしんねえなあ。

同妻 箱に入ってる感じのね。

同夫 入ってたなあ。

同妻 箱に入ってたね、幾つかね。6つだか5つだか、折箱みたいなんに入ってた。

記者 その時に秘書は、「日頃お世話になってます」というような感じで来るんですか?

同夫 そうだね、一応オレも(名簿などに名前が)入ってるんだろうから。

記者 ちゃんとお通夜や新盆の義理ごとは欠かさず?

同夫 そうだね、そういう義理ごとは気まわしてくれてるから、本当にありがたい限りなんですけど。

記者 この辺を担当している秘書さんの名前は?

同夫 名前は……忘れちったなあ。

同妻 年配の方、いつもよく来てくれる人だね。

公職選挙法が禁じる違法な寄附

「線香1本でもアウト」をなぞる恰好である。これらを茂木事務所に質すと、

「秘書も生前の故人との付き合いがあり、故人と秘書との人間関係に基づき、行っているものと承知しております」

 との回答を頂いた。

 しかし、有権者に名前を忘れられた秘書が人間関係など結べるものだろうか。政治資金問題に明るい上脇博之神戸学院大教授に解説してもらうと、

「政治家が選挙区内の有権者に線香を配る行為は、公職選挙法が禁じる違法な寄附になります。秘書が配った場合でも、政治家の代理であることがわかる形であれば同様です」

 今回、事務所が購入した線香は市販のもので、茂木氏の名前などは記載されていない。そうだとしても、

「有権者が秘書個人の名前を知らず、政治家の秘書とだけしか認識していない場合がありますよね。その秘書が“いつもお世話になっています”と言って線香を持ってきたら、それは秘書個人として線香を渡したものだとは言えない。その時は、政治家の事務所として選挙区内の有権者にお世話になっていることを挨拶したものと理解されるので、やはり違法な寄附と見做されます」(同)

デイリー新潮取材班

2021年11月10日掲載

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