市販薬と病院の薬、効果の違いは? 薬剤師が教えるドラッグストアの賢い使い方

ドクター新潮 医療

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胃薬を継続的に服用する際の注意点

〈現代はストレス過多の時代である。風邪薬と並んで、胃薬も日常接する機会の多い薬だが、正しく選択するのは難しそうだ。どのような基準で選べばいいのだろうか。〉

 これも無闇に選ぶのではなく、症状によって選ぶのがよいと思います。

 痛みがある場合であればスクラルファートやテプレノンなどを含む胃粘膜保護薬。市販薬なら「スクラート胃腸薬」や「セルベール」。胃酸抑制作用のある「ガスター10」などが選択肢になります。

 食べすぎであれば、消化酵素を配合した「第一三共胃腸薬」など、総合的なものがお薦めです。

 また、漢方薬も数多く出ています。「太田漢方胃腸薬II」などは、胃の調子を整える安中散(あんちゅうさん)に、精神安定作用のある茯苓(ぶくりょう)が配合されています。ストレスからくる胃の不調に、こうした漢方薬を試す手もあります。

 胃薬で気をつけていただきたいのは、長く飲み続けないことです。市販薬にできるのは、あくまで一時的な症状への対応だけです。もちろん飲めば症状は改善されますが、そのために病院に行くのが遅れ、大きな病気が発見されなくなる可能性があります。また、病院に通っていれば、その緊張感から食生活や生活習慣を改善しようという気になりますが、市販薬に頼っていたのではなかなか意識は変わりません。結果、胃の根本的な不調がいつまでも改善されないということにもなります。市販薬は、あくまで一時しのぎと覚えておいて下さい。実際、多くの胃薬の説明書には「長期服用はしないで下さい」と書いてあります。

〈最近では、コンビニでも胃薬などが手に入る。薬局などで売られているものとの違いや効き目が気になる。〉

 過去20年余りの規制緩和で、かつて医薬品だった一部の製品がコンビニでも売られるようになりました。ただし、いわゆる一般用医薬品は、薬剤師や医薬品登録販売者がいる店でなければ販売できないので、多くのコンビニで扱っているのは「指定医薬部外品」と呼ばれるものです。これらは成分や量が一般用医薬品よりも少なめで、効能もマイルドなものです。ですので、たとえば飲みすぎた時にちょっと寄って消化薬を買うような使い方はできますが、先述したような胃痛などの薬は、薬局やドラッグストアで、ということになります。名前がそっくりであっても、ドラッグストアで売っているものとコンビニで売っているものとでは中身に差があるのです。

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