ヨーロッパの王室離脱劇に見る「王族の条件」 平民と結婚した事例の顛末、求められる覚悟とは?
大反対された王女の結婚
スウェーデンのお隣にあるノルウェーでも「貴賤婚」の伝統はやはり長らく続いていた。現在の王朝の初代国王ホーコン7世(在位1905~57年)の妃は英国王エドワード7世の末娘モードであり、ふたりから生まれた次の国王オーラヴ5世(在位1957~91年)はスウェーデン王女マッタと結婚している。
そのオーラヴとマッタの身にも「貴賤婚」という運命が突然降りかかってきた。第2次世界大戦が終結してまもない1948年のことだった。
ノルウェーは、1940年4月にナチス・ドイツ軍の急襲を受け、2カ月ほど抵抗したのちにホーコン国王とオーラヴ皇太子はイギリスへと亡命し、国内に残ったレジスタンス(抵抗運動)をBBC(英国放送協会)のラジオを通じて鼓舞していった。この間にマッタ皇太子妃と3人の子どもたちは、フランクリン・デラノ・ルーズべルト大統領からの招きを受けてアメリカで亡命生活を送っていた。
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