花巻東の怪物1年生「佐々木麟太郎」 高校時代の大谷翔平を凌駕する“驚異の長打力”

スポーツ 野球

  • ブックマーク

Advertisement

“出世番号”の17を背負って

 菊池雄星(マリナーズ)、大谷翔平(エンゼルス)と近年だけで2人のメジャーリーガーを輩出した花巻東に新たな“怪物”が登場した。チームを指揮する佐々木洋監督の長男、佐々木麟太郎(1年)だ。入学直後から菊池と大谷も背負った“出世番号”である背番号17を背負うと、春の岩手県大会2回戦では2打席連続ホームランを放ち、いきなりその大器ぶりを見せつけて話題となった。

 筆者が佐々木のプレーを実際に初めて見たのは、7月21日に行われた夏の岩手大会準決勝、対水沢工戦だ。佐々木はこの試合、2番ファーストで先発出場すると、第1打席のファーストスイングで打った瞬間に分かる先制のソロホームランをライトスタンドに叩き込んだ。

 スイングの速さと打球の勢いにも、もちろん驚かされたが、それ以上に感心したのは技術的なレベルの高さだ。打ったボールはタイミングを外そうと投じた92キロのカーブであり、その緩いボールに全く体勢を崩されることなく、フルスイングできるというのはボールを見る姿勢が安定している証拠である。

 これに加えて、甲子園出場へ向けての大事な試合の第1打席で完璧な仕事をやってのけるというのも“並の1年生”ではない。チームは結局、この後の決勝戦で盛岡大付に敗れて甲子園出場を逃したが、佐々木自身は5試合で2本塁打を放ち、その存在感を大いに見せつける結果を残した。

メジャーのバッティングを参考

 そして、迎えたこの秋。佐々木の打撃はさらに進化した。筆者が現地を訪れたのは、10月21日に行われた秋季東北大会の対東日大昌平戦。この試合の第3打席で佐々木は、外寄りのストレートをとらえて左中間最深部のスタンドまで軽々と運んだ。会場となった石巻市民球場は、両翼100メートル、センター122メートルと地方球場としては十分な広さがあり、追い風が吹いていたことを考えても、左バッターが左中間にホームランを放つことは容易ではない。

 父である佐々木洋監督からは、「風も考慮してセンターポールの旗をめがけて打てと声をかけられた」と話していたが、そのアドバイスに対して100点満点の結果で応えてみせたというのはやはり只者ではない。体格は、身長183cm、体重117kgで少し肥満体型であることは確かだが、夏に比べて一回り体が絞れたようだ。そのおかげで、守備の動きやスイングの鋭さもアップしているように見えた。

 佐々木は、小さい頃からメジャーでプレーする選手のバッティングを参考にしてきたという。左肘を上げた構えから、少しクロス気味に踏み込んでフルスイングするスタイルは、確かに日本人離れしている。緩い変化球は手元に呼び込んで引っ張り、外の速いボールには逆らわずにセンターから左へ弾き返す。しかも遠くへ飛ばすことができるとなれば、相手バッテリーも打ちとることは容易ではないだろう。

次ページ:1年秋で本塁打47本

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。