小室眞子さん、圭さん結婚 宮内庁のいい加減な発表は無責任な現実逃避に聞こえる

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 宮内庁は、これまでも批判されて手に負えなくなると、「誰それがお心を痛めておられる」とか、「そのために体調が思わしくない」といって、正当な批判を抑えて、自分たちの不手際を追及されないように逃げてきた。【八幡和郎/評論家】

 今回も眞子様が「複雑性PTSD」で、それは、週刊誌やSNSなど各種メディアを通じて行われた誹謗中傷が原因だといわんばかりのいい加減な発表をしたが、無責任な逃避であるように聞こえる。

 正確に言うと、10月1日の会見で、秋山剛医師(NTT東日本関東病院)が、「ご自身とご家族及びお相手とお相手のご家族に対する誹謗中傷と感じられるできごとを、長期にわたり反復的に体験された結果」という表現を使ったのである。

「誹謗中傷と感じられるできごと」という表現を使うことで、客観的にみて誹謗中傷であるかどうかを曖昧にして逃げているが、聞いた一般人はそこまで細かく語句を精査しないから、メディアが誹謗中傷したという印象をもっただろう。

 しかし、そもそも、SNSなどでの匿名の書き込みや作成者の正体もよく分からないYouTubeなどを別にすれば、週刊誌もネット・メディアも、小室氏にも眞子様にも誹謗中傷などほとんどしていないのである。

 むしろ、小室母子に対しても、政界スキャンダルなら犯罪者でもあるまいしと同情したくなるほど辛辣な批判がされるような案件でも、非常に抑えた書き方しかされてないといってよいくらいだ。

 週刊誌もネット・メディアも言葉の裏を察して欲しいということで、もってまわった書き方をしてきたわけで、それに甘えてきたのが宮内庁であり、ご当人たちである。

 私は、この件に限らず週刊誌やネットにおける皇室記事は、あくまで批判であって、皇室を貶めようという趣旨のものは、ほとんど知らない。

美智子上皇后、週刊誌報道をご覧に?

 そもそも王室や皇室一家の家族事情やプライバシーは、国家的関心事なのだから、古今東西、どこでも興味を持たれるし、情報はかなりの人に共有されてきた。明治維新以前の京都御所に近いところにいる人のあいだで、皇族や公家の生活が秘密のベールにつつまれてきたわけでない。

 戦前でも華族社会周辺のなかでは、けっこう、皇室も含めて多くの人が互いのプライバシーを知っていたし、皇族に意見もいえたのである。大正天皇や昭和天皇の教育だってその時々の首相や元老もかなり細かく口出ししている。

 むしろ、戦後になって、少数の皇族がいわれたことをこなすだけの使用人でしかない宮内庁の役人くらいにしか相談せずに、諫言されることもなく、きちんと展望をもたずに安直に対処していた観がある。それは皇族にとって気楽で良いかもしれないが、その結果として皇族方の教育がうまくいっているように見えないし、結婚相手探しも難航してばかりいる。

 そんななかで、週刊誌などの報道や批判は、皇室自身にとって貴重な情報源であり、風見鶏であり、判断材料になっているように見える。

 たとえば、美智子上皇后が週刊誌報道を大変よくご覧になっているとしばしばいわれ、それは見当外れでもないようだ。大正天皇の貞明皇后など非常に熱心に皇族の動向についての情報を集めておられたようだが、いまの宮内庁の役人が組織的に情報収集をし、両陛下に報告しているとは聞かない。

 だからこそ、週刊誌情報が皇族自身にとって最高の情報源にもなっているのが現実だ。「貞観政要」で知られる大唐帝国の名君・太宗は、諫言の士を大事にして、もっとも頻繁に諫言した魏徴が死んだときには、「私は鏡を失った」と嘆いたが、王侯にとって本当に必要な忠臣は諫言の士であり、云うとおりにしてくれる佞臣ではない。

 だからこそ、諫言の士だった和気清麻呂が皇室の歴史でも最高位の忠義の士だということになっているのだが、現代の皇室における和気清麻呂の役割を果たしているのは週刊誌だ。

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