22年春から「ゆとり教育」が再スタート 高校の指導要領に「総合的な探求の時間」が

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文科省は「ゆとり教育」を自画自賛

「〈総合的な学習の時間〉は、ゆとり教育の目玉。たとえば中学では70~130単位時間が必修とされたのですが、内容は教師の裁量に任されたため、何を教えてよいか分からないという事例が続発したのです」(同)

 例えば〈ドラえもんのハリボテ作り〉や〈アイドルのダンスの真似〉から、果ては〈東京タワーに登って景色を眺める〉、〈市内のお店の食べ歩き〉までが授業になったのである。結果、03年と06年に実施されたOECDの学習到達度調査(PISA)で、日本は大きく順位を落とした。いわゆる“PISAショック”である。

 その反省もあって08年の改訂版学習指導要領では〈総合的な学習の時間〉が、半分近く削られる。「脱ゆとり」の宣言には、さらに数年を要した。最近ではその名を聞くことも少なくなったが、〈総合的な学習の時間〉が無くなったわけではない。

 文科省は、

「具体的な新プログラムはこれから」(教育課程課)

 と言うが、新指導要領の解説では、ゆとり教育を〈国際的に高く評価されている〉と、かつての大失敗を自画自賛する始末だ。

 教育評論家で精神科医の和田秀樹氏が言う。

「かつて、ゆとり教育を強行した文部官僚の後輩がいまも文科省に残っているのです。彼らが目指しているのはペーパーテストの否定。そして、総合学習の成果を全面的に大学入試に盛り込みたいのでしょう」

週刊新潮 2021年10月21日号掲載

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