広島「鈴木誠也」流出の穴をどう埋める…「中村奨成」も候補のひとり?

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甲子園でホームランを打ちまくったヒーロー

 そんな中で期待したいのが、来年25歳となる正随優弥だ。今季は、二軍でリーグ2位となる11本塁打を放ち、規定打席不足ながら打率.293をマーク。一軍では、9月15日の中日戦で逆転のスリーランを含む4打点の大活躍でプロ入り初となるヒーローインタビューを経験した。末包とは同学年であり、プロの先輩として負けられない気持ちも強いだろう。

 そして、もう一人外野手の候補として面白いのが、17年のドラ1、中村奨成だ。林や正随と比べると、二軍でなかなか結果の出ないシーズンが続いたが、今季は外野に挑戦して、一軍でプロ初ホームランも放った。夏の甲子園でホームランを打ちまくったヒーローが、ようやく大器の片鱗を見せ始めている。

 広島の捕手陣をみると、会沢翼以外にも攻撃型の坂倉将吾、守備に定評のある石原貴規がそれぞれ成長を見せているほか、中堅の磯村嘉孝も控えている。この状況で、中村が捕手としてレギュラーをつかむのは容易なことではない。打撃と強肩を生かして、外野手で勝負したほうが出場機会が増えることは明らかだ。現在、行われているフェニックスリーグでも、外野での出場が多くなっており、来季に向けての準備と考えられそうだ。

 鈴木がメジャーへ流出すれば、チームにとって大きな痛手であるが、このように考えてみると楽しみな選手は決して少なくない。彼らにとってみれば、プロとして飛躍する大きなチャンスであることも間違いないだろう。25年ぶりのリーグ優勝を果たした16年の鈴木のように、“神ってる”活躍を見せてくれる選手が登場することを願っている。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月25日掲載

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