「ウチの子、好き嫌いがバラバラなんです」 3姉弟を育てる漫画家が山本ゆりさんに相談

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〈これは子育て漫画じゃない〉

先月16日に発売した『ご成長ありがとうございます たべざかり編』の帯には、山本さんから寄せられた〈これは子育て漫画じゃない、読むと力が抜ける最高の家族のギャグ漫画です。大好き三本家!〉とのコメントが掲載されている。

三本さん:〈これは子育て漫画じゃない〉って言い切ってもらえたのが、本当に感動するほど嬉しかったんです。もちろん子育てしてる方に共感しながら読んで頂けることが、まず一番ありがたいことではあるんですが、全世代に届くギャグ漫画を描きたいとずっと思っていました。おこがましくて自分では言えないほど大きいそんな目標を、山本さんが帯のコメントに書いてくださったんです。

山本さん:子育て漫画も大好きでよく読むんですけど、『ご成長ありがとうございます』を読んだ時に、これは子どもとか家族のことを題材にしてはいるけれど、何よりめちゃくちゃ笑えるから、ギャグ漫画だなって率直に思ったんです。10歳のアミもいつも爆笑しながら読んでますし、全世代の人に読んでほしい!!って思って書きました。

三本さん:アミちゃんが面白がってくれてるのが嬉しいです。うちの子たちは「マンガ描くの頑張って!」って応援してくれるんですけど、たまに「もっとこうした方が面白い」とかってちょっと厳しいアドバイスもあるんですよね。

山本さん:笑えるけど感動もして泣けるところがすごいと思ってて、『たべざかり編』の「フミの待ち合わせ」で、フミちゃんが休みの日に友だちと遊ぶ約束をしたのに、相手が待ち合わせ場所に来なかった話すごく泣けました。子ども同士の口約束なんで、こんなことはしょっちゅうあるんですよね。漫画の中での、約束を楽しみにしながら健気に一人で待っていたフミちゃん。傷ついてることを悟られたくない気持ち。それをわかっているお母さんが、ひとり待ちぼうけのフミちゃんに何も聞かずに「アイス買いに来てん、フミも行く?」ってさりげなく声を掛けるところがすごく優しくて、その後のフミちゃんの涙のコマ含め、全部まとめて好きでした。

三本さん:これくらい年ごろの子どもにはよくあることで、別に誰が悪いわけじゃないんですよね。うちの子も、これまで友だちとの約束を忘れてしまったことがあるかもしれない。漫画にしたのも、自分の子が可哀想だってことを言いたいわけじゃ決してなくて、子どもってこういうことあるよねって思って欲しかったんです。

実は、例えばこういう話も、少し前までは漫画にするのをためらっていたんです。ギャグ漫画としてただただ笑って欲しいのに、子どものこととなると人それぞれ考え方が違うから、例えば「そんなやり方は間違ってる」とか思う人もいるかもしれない。これまでは批判されないってことに重きを置いて、その上で漫画に出来るネタを探していました。でもそれだと描けることを減らしてしまっているなって気づいて、最近になってやっと自分が描きたいものを描けるようになってきたと思います。

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