「ウチの子、好き嫌いがバラバラなんです」 3姉弟を育てる漫画家が山本ゆりさんに相談

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ピザのレシピで傷つく人もいるかもしれない

山本さん:1冊目、2冊目ももちろん面白かったですが、3冊目が特に魅力的だったのはそのせいだったんですね。他には、ユキくんの出産のときに、家族が立ち会った話はアミのお気に入りで、「ここ見た?」って見せてくれました。三本さんがいきむために旦那さんをヘッドロックしたところに、めちゃくちゃウケてました。

三本さん:その話もちょっと思い切って描いた話だったので、嬉しいです。私は、山本さんのレシピだけじゃなくて、エッセイも大好きで、めちゃくちゃ笑えるけど、最後には励まされる。特に『syunkon日記 おしゃべりな人見知り』(扶桑社)は、あんな風に自分の考え方や内面に踏み込んで文章を書くのは、どれだけ大変なことなんだろうと思いながら読んでます。色んな事情を持った読者がいるってことを想像して、ものすごく配慮して書かれているんだろうなと思いました。

山本さん:後半に重い話を書きすぎて、最初の方の料理の話何やってん! って感じの本ですよね(笑)。毒にも薬にもならないことを書くのはやめようっていうのは、本を作るときに決めてたことなんです。当たり障りのないことを書いて100人に共感してもらうなら、誰か1人に思い切り刺さる作品にしたい。もちろん読んだ人を傷つけてしまうようなことは、避けられるなら出来るだけ避けますけど、それが第一の目的じゃないよなとも思います。

よりたくさんの人の目に入るブログやSNSの発信はもっと難しくて、絶対に誰からも批判されたくないと思ったら何も書けなくなってしまう。例えばピザのレシピを載せたとして、ピザに嫌な思い出がある人は、それだけで傷ついてしまうかもしれないじゃないですか。世の中に発信する限りは、絶対に誰にもマイナスな感情を抱かせないことは出来ない。そうやって割り切りながらも、ブログは投稿した後に、気になったところを何回も修正しています

三本さん:ゆりさんも悩みながらやっているって分かって、すごく安心しました。家族や子どものことを発信するのは、特に難しいですよね。当たり前ですけど、毎日生活していると色んなことがあって、良いことばかりあるわけじゃない。特に長女が小学校高学年になると、どんどん賢くなって大人びてくるから悩みも変わるし、ギャグとして漫画に描けないようなことも増えてくるんです。その分、末っ子のユキはめちゃくちゃ面白い年ごろになってきました。

山本さん:三本さんの漫画は、3人の子どもたちに同じだけスポットが当たってるのがすごいんですよ。読むと3人全員が好きになる。アミは「ケイちゃんは良いな、漫画にしてもらえて」って言ってます。三本さんのお子さんが中高生くらいになった時に漫画を読んで、親は自分のことをこんな風に見てくれてたんやって振り返ると、きっとすごく嬉しいでしょうね。

三本さん:私は最初、フミのことを漫画にしてインスタに載せたんですよ。フミは幼稚園に入る前から、一風変わってて自分の世界がある方だから、ちょっと心配になることもあったんです。それを漫画にしたら「フミちゃん面白い」「このまま大きくなって欲しい」ってすごく面白がってもらえて、そのおかげで、私自身がこれがフミの個性なんやって心から思えるようになりました。そこで火がついたから、今でも子どものことを漫画に描き続けてるんやと思います。

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