「二階前幹事長」が干されて恨み節「安倍は何の挨拶もない」「1億5000万円支出の指示を俺が出せる訳がない」

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独断専行への不満のマグマ

 菅義偉氏の退陣から岸田文雄首相誕生という政局の中で最も割りを食ったのが、二階俊博前幹事長率いる二階派だというのは衆目の一致するところだろう。閣僚や党役員人事で干され続けた二階氏は、安倍晋三元首相への恨み節をこぼしているという。

「田中角栄を超え歴代最長の5年超にわたって幹事長の職にある中で、独断専行がすぎるという批判は強まっていました」

 と、政治部デスク。独断専行の最たる例が自派閥拡大のための選挙区での優遇作戦だ。

「いくつかの選挙区で自民党系の候補がかち合うケースがありますが、そのほとんどに二階派所属の議員が絡んでいました。自派閥の現職議員に他派閥が割って入ろうとした際には現職優先と言ってみたり、その逆だと勝った方に推薦を出すと言ってみたり、ルールが変幻自在な点に不満のマグマがたまっていましたね」

 二階氏を幹事長に任命したのは首相時代の安倍氏なのだが、

「何度か二階さんを切って岸田さんにスイッチしようとしたんですが、老練な二階さんは匕首(あいくち)を突きつけるような形で安倍さんにプレッシャーをかけ、安倍さんはなかなか切れなかった」

厄介な「1億5000万円の支出問題」

 安倍氏の電撃退陣の後、どの派閥ボスよりも早く「菅支持」を訴え、その後の人事でも旨味を吸う権利を勝ち取った。

「無派閥で政権基盤の脆弱な菅さんにとって二階さんの支援は渡りに船。菅政権の生みの親からいつしか菅政権の屋台骨となっていきました。それは裏返すと菅政権と運命共同体だということになるわけで、じり下がりする内閣支持率の戦犯として二階さんが槍玉にあげられることにつながりました」(先のデスク)

 二階氏にとって党内のやっかみ以上に厄介だったのは、「1億5000万円の支出問題」だ。2019年7月の参院選広島選挙区に出馬した河井案里陣営に、党本部から1億5000万円が流れていたことが明らかになったのだ。

「選挙時に党から支給される額としては『一桁違う』という指摘がありましたが、その通りでしょう。その後、河井氏や夫で選挙を取り仕切った克行法相が公選法違反容疑で逮捕・起訴され、その公判で二階さんの名前が飛び出したのです」(同)

 2020年10月、案里被告の公判で検察側の証人として出廷した自民党の広島県議が案里被告からカネを受け取る際に、「当選おめでとうございます。二階幹事長から預かってきた」と話したと証言したのだ。これについて、「案里被告はよくブラックジョークを言うので、ジョークだと思った」と付言したが、「1億5000万円の支出=二階氏」という構図が流布していく。

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