「さいとう・たかを」担当編集者らが明かす素顔と分業制の理由 最終回の構想は?

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「畳の上で死ぬとは…」

「分業制を採用したのは作品のクオリティを高めるため、読者のために少しでもいいものを作るためだと先生は口にされていました」

 とは、さいとう氏の最後の担当編集者である「ビッグコミック」編集部の夏目毅氏だ。

「手塚治虫先生のように、物語も作れて絵も上手い全てに長けた天才はそうそういません。だからこそ先生はさまざまな才能を結集させて、より良いものを作るシステムを作られたのです。現在、10名ほどの脚本家にシナリオ制作をお願いしていて、それがさまざまなジャンルの物語の作成を可能にしています。そのシナリオをもとに、先生がページの配分やコマ割などの構成を決め、アングルや場面などの構図をチーフスタッフに指示します。そして、構成・構図が決まったあと、10名ほどのスタッフが作画を進めていきます。ゴルゴの顔や、“ズキューーーーン”などの音は必ず先生が描かれていました。今後は、さいとう・プロダクションと脚本家、編集部で協力して、さいとう先生が作られた分業制のもと連載を継続していきます」

 世界情勢を盛り込み、実際に起こった戦争やテロをはじめとする大事件をモデルとした「ゴルゴ13」は、大人の鑑賞にも堪えうる作品としての評価も高い。

「小説家の船戸与一や井沢元彦をはじめ、現役商社マンや銀行員が原案を書くこともありましたよ」

 と明かすのは、元小学館最高顧問で、株式会社ヒーローズ代表取締役社長を務める白井勝也氏である。

「ほとんどの床屋さんに置いてあるゴルゴのコミック。何度読んでも楽しめるのは、ストーリーや背景描写が入念で、ページをめくるたびに新たな発見があり、古びない魅力を発しつづけているからだと思います。私は『ゴルゴ13』が始まった1968年に小学館に入社して以来、先生とは仕事は無論のこと個人的にもかわいがって頂きました。多くのマンガ家と交流を重ねてきましたが、最後まで締め切りを守り続けた漫画家を他に知りません。連載を休んだり、原稿を落としたりするのはプロではないという思いが、誰よりも強かったのだと思います」

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