「北村滋・前国家安全保障局長」が官僚トップの内閣官房副長官に浮上した理由

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総務官僚OBが後継候補だった

 北村氏は今年7月に国家安全保障局長を退任し、東京・虎ノ門に事務所を開き、9月に『情報と国家-憲政史上最長の政権を支えたインテリジェンスの原点』を上梓したばかりだった。

「警察当局による再就職の斡旋の世話を受けなくても、インテリジェンスの分野で培った人脈を通じていくらでも仕事が舞い込んでくる状況のようです。ただ、その一方でかねて、霞ヶ関の官僚のトップである内閣官房副長官の仕事には興味を示していたと言われています」(先の社会部デスク)

 現在、副長官を務める杉田和博氏は北村氏にとって警察庁の大先輩。同じ警備・公安出身者として、安倍長期政権を支えてきた。

「杉田さんは危機管理能力が抜群で余人をもってかえがたく、菅さんが首相になっても手放すことができませんでした。80歳と高齢で常に交代説が取り沙汰され、今年に入ってコロナではない感染症で入院したこともあります。そろそろ交代かと言われる中で総務官僚OBが杉田さんの後継となるといった話も流れていたのですが、菅さんの退陣でご破算になっていたのです」(同)

乾杯の音頭を取ったのは

 4年前、開成OBで作る「永霞会」が発足し、会長には岸田氏が収まった。その設立総会で乾杯の音頭を取ったのは、他ならぬ北村氏で、“岸田総理誕生が開成OBの悲願です”と話していたという。

「開成OBとして初の総裁・首相ですからボルテージが上がるのは無理もないですね。同じ開成出身で安倍さんの懐刀だった北村さんが副長官にもと取り沙汰されるのは織り込み済みなのでしょうが、全官僚のトップという立場は重しがあった方がスムーズ。その点、北村さんはまだ64歳で、霞ヶ関に年長者はいないものの年齢が近いキャリアはゴロゴロいる。これまで、安倍さんのお友達だから重要なポストで処遇されているんだろうなどと陰口を叩かれてかなり嫌われてきたのは否定できません」

 副長官就任説が流れ、霞ヶ関からはアンチ北村の声がかなり上がり、副長官人事はなかったことにされそうな気配も出てきている。

デイリー新潮取材班

2021年10月2日掲載

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