新総裁は「安いニッポン」を変えられるか 新自由主義からの脱却が課題か

国内 政治 2021年10月02日

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 29日に行われた自民党総裁選投開票の結果、岸田文雄が新総裁に選出された。予想のできない展開となった今回の総裁選だったが、九州大学大学院の施光恒教授はどのように見たのか。

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 今回の総裁選は、自民党が続けてきた新自由主義路線をこの先どうするのかという転換点になるかもしれない――私はそうした視点で総裁選を見ていました。

 新自由主義の下では、グローバル企業や投資家は稼ぎやすく有利ですが、庶民には不利で暮らしにくい社会ができてしまいます。実際この20年で中間層が没落し、庶民の元気がなくなってしまいました。

 韓国などアジアの国と比較しても、日本の賃金は低くなった、物価も安くなったといわれ、『安いニッポン』という本が出版されて話題になる。構造改革によって非正規雇用や外国人労働者を増やし、労働者の賃金が下がるような改革ばかりを行ってきたのだから、「安いニッポン」になるのは当たり前のことです。

 今回の総裁選の顔ぶれでいうと、有力候補者3名のうち、河野太郎さんは新自由主義路線の継続。岸田文雄さんと高市早苗さんは新自由主義を見直す路線を訴えていました。ちなみに「転換する」とはっきり公言していた岸田さんは、菅義偉総理とは違い、人の話をきちんと聞きそうではあります。

 残念ながら、国際秩序から新自由主義路線を変えていく、という視点を持った方はいませんでした。世界の潮流を見ると、例えば、アメリカのバイデン政権は新自由主義路線からの脱却を意識していて、企業に最低15%の法人税を義務付ける法案を出しています。イエレン財務長官も、グローバル企業に有利な税制を変えようという趣旨の発言をしています。

 新総裁は、米国などと協調して国際秩序から新自由主義を改め、グローバル企業や投資家ではなく庶民を豊かにする政治を目指してほしいです。

週刊新潮 2021年10月7日号掲載

特集「謀略の人間喜劇 『河野太郎』『岸田文雄』を踊らせた『安倍前総理』」より