新型コロナ、新規感染者急減で注目される「エラーカタストロフの限界」理論

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自滅するウイルス

 さらに、日本での新規感染者が8月から9月にかけて急減したことで、「エラーカタストロフの限界」という理論にも注目が集まりつつある。「エラーカタストロフの限界」とは、1971年に米国の進化生物学者が提唱したもので、「ウイルスは変異しすぎるとそのせいで自滅する」という主張だ。50年前の説が注目されるようになったのは、インドはデルタ株の出現で最悪の事態に陥ったが、充分な対策が採られなかったのにもかかわらず、急激に感染者が減少したことがきっかけだ。

 児玉龍彦・東京大学先端科学技術研究センター名誉教授は、ウイルスのコピーミスを修正するポリメレースという酵素に変異が生じたことで、コロナウイルスの変異速度が格段に上がっていると指摘する。これが正しいとすれば、「今後デルタ株を超える大波が襲来する」ことを必要以上に恐れる必要はなくなる。

 過度の楽観は禁物だが、これらの事情を踏まえ、筆者は「日本に『ウイズコロナ』の日が来るのは近い」と考えている。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮取材班編集

2021年10月1日掲載

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