住友不動産販売、1年半で300件超の社内処分乱発 現役社員が嘆息する“怖すぎる内情”

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無断PCR検査で重譴責

 都内の別の営業所で働く若手社員のB氏は、2割程度にのぼる新型コロナ関連の処分にも疑問を持っているという。

〈会社の許可なく会食を行っていた行為〉を事由に〈降格〉や〈重譴責〉の処分が多数出ているだけでなく、〈会社の許可なく、会食を伴う旅行に行った行為〉に対しては〈譴責〉の処分が出ている。感染対策を徹底しているという意味では、企業の姿勢として当然という見方もあるが、

「昨年4月に緊急事態宣言が出た頃、会社から『社内外問わず会食をする場合には、事前に許可を取ることが必要』などといった、新型コロナに対策に関する新たなルールが口頭で伝えられました。それに加え、以前から弊社では旅行をする際には事前に旅程や緊急連絡先を会社に報告する必要があったのですが、コロナ禍でそのルールの徹底が呼びかけられました。しかし、それを守らない社員がおり、感染が判明した後に許可なく会食や旅行をしていたことが発覚し、処分される例が増えたのです。違反内容に対し、降格や重譴責という処分が見合っているかどうかは何とも言えませんが、これだけ処分が乱発している中では、会社の判断に不信を抱いてしまいます」(B氏)

 他にも今年1月には、〈コロナ感染防止に関する遵守事項違反(上司に報告せずPCR検査を受検した行為)〉で〈重譴責〉という処分が下っている。

「自分や家族がPCR検査を受検する際には、事前に申請し、常務理事の許可が必要だと口頭で説明がありました。一時期、特に東京の都心部などでは、どれだけ用心してもいつ感染するか分からないほどの状況で、積極的にPCR検査を受検するよう奨励する雰囲気もあったと思います。しかし、会社から検査の許可が出るまでにはある程度時間が掛かるので、中には許可が出る前に用心の意味を込めて受検する社員がいたのです。そこで陽性が判明すれば、重譴責という処分になる。いわば“会社に黙って陽性になることは許されない”というような処分で、“感染対策を徹底させたい”ということ以上の意図を感じます。こんなことでは、感染を隠したり、感染経路を会社に正しく報告しないという人が増えてくるのではないかと心配しています」(同前)

「大多数にとっては痛みのない運用」と回答

 住友不動産販売に取材を申し込むと、2020年4月以降に社内処分が急増したことを認めた。その上で、理由を以下のように説明した。

「従来から社内ルールはあったものの、違反しても『厳重注意』にとどめておくことが現場レベルで常態化しておりました。これらのルールについては厳格に運用することとし、軽重に応じた社内処分を科すことといたしました。その結果、処分件数は増加しました。ルールを遵守している大多数の社員にとっては痛みのない運用であり、ルールを守らなかった者達からはやりにくいという不満がでていることは承知しております。当社としては、業務改善改革に取り組んでおり、当然のことを行っているものと考えております。ここ1年半はコロナ関連の規定違反と内部通報の増加もあり、処分件数は確かに増えましたが、最近は、減る傾向にあり、社内ルールを厳守させることの意味が出て来ております」(住友不動産販売広報担当)

デイリー新潮取材班

2021年9月28日掲載

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