「聖徳太子の偽1万円札」を使って逮捕されたべトナム人 「北関東」「タンス預金」が関係か

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140枚の偽札

「逮捕された若いベトナム人が警察の車に乗せられるところを見ました。手錠をかけられているベトナム人は、目の前の現実を受け止められていないような、とても悲しい表情をしていました」

 9月8日、聖徳太子の肖像が入った偽の旧1万円札を使ったとして、東京都内在住のベトナム人の男女3名が偽造通貨行使の疑いで警視庁に逮捕された。冒頭は、この逮捕劇に遭遇した目撃者の証言だ。逮捕された3名はいずれも20代で、今年8月、東京都中野区のコンビニで飲料水などを購入し、偽の旧1万円札を使用して釣銭を受け取った疑いが持たれている。

 都内ではコンビニやドラッグストアなどで偽の旧1万円札が使われる事件が相次ぎ、約140枚もの偽札が見つかっている。警視庁は犯人たちの自宅などから約130枚の偽札を押収。警視庁は入手経路を調べると共に、組織的な犯罪なのか全容解明に力を注ぐ。

空き巣も頻繁に発生

 近年は、ベトナム人不良グループの勢力拡大が著しい。昨年には北関東の群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県において家畜が盗まれる事件が発生し、多数のベトナム人が検挙された。この家畜窃盗事件による被害総額は3000万円以上にも上るといわれ、日本社会に外国人マフィアの勢力が台頭する時代が来たと、関係者に衝撃を与えた。

 家畜窃盗事件は、牛や豚、鳥などの解体を得意とするベトナム人らが、仲間たちと連携をして家畜を盗み、自分たちで食べもするし、現金を得るために売りもするという、いわば“生きる手段”としての犯罪行為とみられた。

 だが、単純な犯罪とは異なり、大量の紙幣を偽造する今回の事件は次元が違う。なぜ、ベトナム人不良グループが、大量の偽札を所持していたのか。そして、なぜ聖徳太子の描かれた旧1万円札の偽札が使用されたのか。

 ベトナム人不良グループが多く暮らしている群馬県内に住み、裏社会の事情にも精通しているM氏は、こう話す。

「群馬、栃木、茨城、埼玉といった北関東地方では、銀行にお金を預けることをせず自宅に現金を保管する、いわゆる“タンス預金”をしている自宅が沢山あります。最近はコロナの影響で飲食店や遊技場に要求するみかじめ料などが得られず、不景気となったヤクザら裏社会が、こうしたタンス預金を狙った詐欺や空き巣といった犯罪を繰り返しているんですよ。タンス預金をしているのはほとんどが高齢者なので、盗まれても気づいていない人も少なくはありません。事件化する可能性も低いので、ヤクザや不良外国人などのアウトローにとっては良いシノギ(資金獲得活動)になります」

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