ついにメスが入った日大事業部の闇 ターゲットはアメフト“危険タックル問題”で暗躍の理事

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 日本大学の本部および田中英壽理事長宅、それに日大が100%出資している株式会社日本大学事業部など数ヵ所に東京地検特捜部の家宅捜査が入った。日大板橋病院の建て替えに関わる背任容疑だと言う。これに関与したとみられる日大A理事(現段階では氏名非公表)の自宅(兵庫県芦屋市)にも捜査が入ったと聞けば、3年前、世間を騒がせた「日大アメフト危険タックル問題」が思い出される。今回の事件でもキーマンと見られる人物は、危険タックル問題の時にも暗躍した理事である。

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 当初「危険タックル問題」は、日大対関西学院大の試合中に起こった「パワハラ的な出来事」と認識されていた。いまも多くの人はそう理解しているかもしれない。だが、事件が注目されてすぐ取材に入ると、問題の根は「日大フェニックス指導陣のパワハラ体質」にとどまらず、監督・コーチも関わる株式会社日本大学事業部(以下、日大事業部)の利権構造と深く関わっていることが推察された。

 アメフト部の内田正人監督(当時)は、日大の常務理事で人事を担当していた。併せて、2010年に日大の100%出資で発足した日大事業部の役員であり、内田監督の指示で選手に危険なタックルを命じたとされた井上奨コーチ(当時)も日大事業部の社員だった。複数のアメフト関係者が日大事業部に関わっているのを見れば、この会社はアメフト部の人材を雇用し、指導に専念できる環境を提供するためのものか? とも見える。一方、アメフト人脈による固い結束や揺るぎない上下関係を日大事業部のビジネス、さらに言えば日大本体と離れた株式会社にかませることで、一部の関係者に利益を還元する錬金システムを裏で形成しているのではないかとの見方も強く浮上した。

「日大が総力を挙げて、潰しにいく」

 危険タックル問題が世間やメディアで騒がれるとすぐ当該選手と彼の父親を呼び出して「恫喝した」と報じられ、第三者委員会の報告書でも実名を出されたのが、アメフト部OBで日大理事でもあったA理事だ。まさに同一人物が「危険タックル問題」でも今回の背任容疑でも疑惑の中心にいるわけだ。アメフトに関する第三者委員会の報告書では、A理事の関与が次のように明らかにされた。

「(当該選手が)タックルが故意に行われたものだと言えばバッシングを受けることになる。だから、内田正人前監督の関与がなかったように(対外的に)説明するよう、A理事は当該選手と父親に求めた。その上で、A理事は『(同意してくれれば)私が、大学はもちろん、一生面倒を見る。ただ、そうでなかったときには、日大が総力を挙げて、潰しにいく』と恫喝した」

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