優勝争いでファンが選手をボコボコに…阪神や広島ファンが暴徒化した3試合の「黒歴史」

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巨人ベンチを襲撃

 セ・パ両リーグとも熾烈な優勝争いが続くシーズン終盤。熱戦になればなるほど、ファンのボルテージも上がるが、過去には、優勝を争う重要な試合で、エキサイトしたファンが暴徒と化し、大荒れに荒れた試合があった。そんなあってはならない騒動の“黒歴史”を振り返ってみよう。

 勝ったほうが優勝というシーズン最終戦で、阪神の大敗に怒ったファンが、巨人ベンチを襲撃する事件が起きたのが、1973年10月22日の“甲子園決戦”である。

 首位・阪神を0.5ゲーム差で追う巨人は初回、王貞治の右犠飛などで2点を先制すると、5回まで毎回得点を記録し、8対0と突き放した。一方、阪神打線は三塁を踏むこともできず、ゼロ行進。7回の攻撃前には、ヤケクソになった虎ファンがグラウンドに五色のテープや空き缶、座布団などを投げ込む騒ぎも起きた。

 そして、0対9の9回2死、カークランドが三振に倒れ、巨人のV9が決まった瞬間、一塁側スタンドのファン約3千人がグラウンドに乱入。巨人ベンチになだれ込んだ。

 警備中の警官と球場ガードマンが止めようとしたが、多勢に無勢でお手上げ。逃げ遅れた王や牧野茂コーチら数人が殴られ、ネット裏では約500人のファンがテレビカメラやマイクなどを破壊。制止に入った解説者の村山実前監督に「阪神選手やってたのに、読売テレビの解説をしやがって」と殴りかかる者もいた。

深夜まで警官とのにらみ合い

 さらに、甲子園署の警備本部前にも約2千人が押し寄せ、投石などを行ったため、中にいた女性警官が空き瓶の破片で足を負傷。この日はファンも含めて計6人のけが人が出た。

 その後も約800人が指定席売り場前に集まり、「責任者に詫びをさせろ」と要求。18時過ぎ、金田正泰監督が出て来て、「情けない試合をして申し訳ありません」と謝罪したが、ファンの怒りを倍加させる結果となり、深夜まで警官とのにらみ合いが続いた。

 乱闘にファンが加勢し、選手、コーチが殴られて負傷する事件が起きたのが、75年9月10日の広島vs.中日だ。

 広島は球団創設26年目の初優勝目前。一方、中日も連覇がかかっており、どちらも負けられない一戦だった。

 そして、悲願の初Vを期待する地元・広島ファンも、試合前からヒートアップ。中日の先発・星野仙一がブルペンで投げはじめると、金網越しに唾を吐きかけ、空き缶を投げつけた。

 さらに3回表、衣笠祥雄に死球を与えた直後の星野が打席に立つと、「殺せ、殺せ!」のヤジが飛んだ。「どんなことがあっても、オレは勝つ」と怒りを闘志に変えた星野は、左越えに1点差に迫る反撃のソロ。この一発で流れを引き寄せた中日は、7回に5対2と勝ち越し、勝負あったかに見えた。

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