【W杯予選】徹底研究したオマーンに無為無策の日本が完敗 森保監督の指揮にこれだけの疑問
日本の進化は「頭打ち」
そしてそれは、今に始まったことではなく、森保ジャパンの初陣となった19年1月のアジアカップでも経験している。
結果こそ準優勝だったが、完勝したと言える試合は準決勝のイラン戦(3-0)だけ。トルクメニスタンとウズベキスタンには先制を許し、オマーンとサウジアラビア、ベトナムにはPKとCKからのゴールで1-0の辛勝と、試合内容でも劣勢を強いられた。
日本は、例えば前回ロシアW杯の海外組は、フィールドプレーヤーに限れば14人だった。遠藤航や植田直通、昌子源らは浦和や鹿島でプレーしていた。今回は酒井宏樹と大迫こそ“国内組”になったものの、海外組の比率は年々高まるばかりで、その傾向はW杯のたびに強くなってきた。
ところが、海外組の比率が高まるのと反比例して、W杯アジア最終予選で日本は苦戦を強いられている。その原因は、日本の成長度合いが「頭打ち」に近いのに比べ、オマーンやベトナム、UAEやシリアといった“アジア第2グループ”の国々の成長度合い、伸び代が大きいからに他ならない。
オマーンの2トップ、長身FWのアルハジリは吉田と空中戦で互角以上に渡り合った。もう1人のFWアルアラウィはスピードを武器に日本ゴールに迫った。
リーダーシップの不在
攻撃はシンプルにアルハジリへのアーリークロスから、こぼれ球を拾って2次攻撃につなげ、サイドで1対1なら躊躇(ためら)うことなく勝負を仕掛けてタテへの突破を狙っていた。
オマーンの攻撃パターンは多彩ではなく限られたものではある。だからこそ、それを徹底してきた。日本は中央突破もあればサイド攻撃もあり、どこかれでも攻められるが、逆にそれが機能不全に陥ると簡単に修復できない弱点を露呈した。本田圭佑のような強烈なリーダーシップを発揮できるタレントが攻撃陣にいないため、ひ弱な印象を受けるのは私だけではないだろう。
失点に関しては、オマーンが時間稼ぎのためにクロスを上げてこないだろうという油断があったのかもしれないし、負傷交代で入ったばかりのアルサビへの警戒心が希薄だったのかもしれない。
いずれにしても、失った勝点は戻って来ないため、9月8日(日本時間・以下同)にドーハで行われる中国戦に全力を尽くすしかない。すでに中国は3日にオーストラリアと対戦し、0-3で敗れている。現地ですでに1試合を消化したアドバンテージはあるものの、日本と同様に2戦目にして早くも正念場を迎えている。
冨安健洋の鋭い指摘
「内容が悪くても結果だけは譲らないことも必要になる。その意味で中国戦はどんな内容であれ、勝点3を取ることが必要です」とは、一足先にドーハ入りしている冨安健洋の、オマーン戦を見た後の感想だ。
そしてエースストライカーの大迫はオマーン戦を振り返り「言い訳できないので、負けたので」と振り返りつつ、中国戦は「もう僕らには後がないので、必死に勝点3を取りに行きます。ここからもう1つも落とせない試合が始まるので」と現地入り後に決意を語っていた。
中国戦では、改めて日本の柔軟な「対応力」が問われることになるだろう。試合が始まって、当初のゲームプラン通りでいいのか、それとも変更すべきなのか。いずれにせよ「無為無策」だけは勘弁して欲しい。
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