京都新聞大株主「白石浩子相談役」が不適切報酬で解嘱 社会の公器を牛耳った“モーレツ女帝”の呪縛

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飼い犬に手を

 京都新聞が前代未聞の記事を掲載したのは、今年6月15日のこと。親会社の「京都新聞HD(ホールディングス)」相談役、白石浩子氏への年数千万円の報酬について、不適切な可能性があると報じたのだ。大株主として長きにわたり京都新聞を支配下に置いてきた“女帝”を解嘱し、報酬支払いも止めたという。

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 京都新聞はHDの100%子会社で、HDの筆頭株主は、浩子氏が代表である白石一族の資産管理会社だ。彼女にしてみれば、飼い犬に手を噛まれたような記事だった。

 報酬は年4000万円超。彼女が京都新聞の会長に就いた1983年にはじまり、2014年にHDの相談役となってからも連綿と続いてきた。その権力の源泉をたどると、義父の白石古京(こきょう)氏に行き当たる。

 古京氏は戦後、京都新聞を有力地方紙に育て上げた。業界の「実力社主」として、地方紙から初の日本新聞協会会長にも選任されている。京都新聞の元最高幹部によれば、

「古京さんには嫡出の子がなく、正妻が亡くなってから妾腹の子、英司さんを認知しました。その英司さんを京都新聞の後継社長に据えたのは、81年です」

「不相当に高額」

 ところが英司氏は就任わずか1年半で急逝。未亡人である浩子氏が実権を握ることになった。英司氏没後には、英司氏が手掛けていた不動産事業の失敗による巨額の簿外債務が発覚。浩子氏は、簿外債務の処理をめぐり「イトマン事件」の許永中氏とも渡り合っている。

 91年に古京氏が他界すると、浩子氏による社会の公器の私物化がエスカレート。先の元最高幹部いわく、私物化の最たるものが京都新聞のHD制への移行で、浩子氏の息子、京大(きょうた)氏への権力継承が目的だったのは明らかという。さらに、浩子氏の勤務実態はないに等しく、その報酬額が、税務当局から“不相当に高額”と指摘されたこともあった。

 にもかかわらず、社内で異を唱える者はいない。そんな状況下で、ついに女帝の呪縛を断ち切るべく「浩子相談役追放」が決議されたのだ。

週刊新潮」2021年9月2日号「MONEY」欄の有料版では、浩子氏追放に至る経緯と高額報酬の内訳を詳報する。

週刊新潮 2021年9月2日号掲載

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