ワタミ「渡邉美樹氏」が掟破りの社長復帰 経営を支える“三本柱”は絶好調のウラ

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会社経営を牽引

 ワタミ、絶好調──。こう書けば、「嘘だ!?」と驚く人が大半に違いない。新型コロナウイルスの感染拡大で、外食産業は大きなダメージを受けている。特に居酒屋は緊急事態宣言の影響もあり、青息吐息のはずだ。経済担当記者が言う。

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「ワタミは今年3月期の連結決算で、最終利益が115億円の赤字となりました。5月の記者会見で渡邉美樹会長(61)は、『外食産業は瀕死の状態』と、コロナ禍で厳しい逆風にさらされていると訴えました。朝日新聞なども8月、渡邉会長が10月1日付で社長に復帰すると報じました。この人事を『経営が悪化しているワタミの立て直しのため、創業者である渡邉氏が陣頭指揮を取るのだろう』と多くの人が受けとめても不思議はありません」

 そもそもワタミは、過去のパワハラ問題を未だに引きずっている。

「2008年、居酒屋『和民』で働いていた女性社員が、入社2か月で自殺しました。その後、7日間連続の深夜勤務など、月140時間に及ぶ時間外労働を強いていたことが明るみになりました。ところが渡邉会長は、謝罪しなかったばかりか、『ワタミはブラック企業ではありません』と居直るかのような釈明を行ったのです」(同・記者)

 この態度は消費者の反発を招いた。「和民」が居酒屋だということも大きい。楽しく酒を呑みたい時に、「ブラック企業」というイメージのある店には行きたいと思わないはずだ。

 おまけに2013年には、渡邉会長が会長職を含む全ての役職を辞任し、参議院選挙の比例区に自民党から出馬した。

「虫のいい話」

 当選したとはいえ、ワタミはパワハラ問題の悪いイメージを回復できないまま、創業者が会社の経営から遠ざかるという“危機”に見舞われた。だが、ワタミは最終的には“奇跡のV字回復”を果たした。フードサービス・ジャーナリストの千葉哲幸氏が解説する。

「社長を務めた清水邦晃氏が、文字通り辛酸をなめながらワタミを黒字化したのです。清水社長はなりふり構わず、『ヒットした他店を真似し、ワタミという名前を消す』ことに注力しました。『鳥貴族』が人気を呼ぶと、『三代目鳥メロ』で追随、唐揚げがブームだと見ると既存店を『ミライザカ』に切り替えていきました。狙いは徐々に成功していき、ワタミを黒字化させたのです」

 渡邉会長は2019年に参議院議員の任期を満了して政界から引退。同年7月にワタミの取締役に復帰した。

「2015年、まだ参議院議員だった渡邉さんは東洋経済のインタビュー取材に応じ、『ワタミには1000%戻らない』と断言しました。渡邉さんが取締役に復帰すると聞いて、『これは問題ではないか』と思いました。清水社長が苦労に苦労を重ねて黒字に復活させたら、渡邉さんが取締役に復帰というのは、なんだか虫のいい話だと思ったのです」(同・千葉氏)

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