企業を恐怖に陥れる「ブラックユニオン」の実態 プロ組合員ばかりか総会屋からの転職組も

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「社長を自殺に」

 パワハラや過労を強いるブラック企業が批判されるのは当然。だが一方で、ブラック企業の烙印を恐れる企業の弱みに付け込んだ、いわば「ブラックユニオン」の台頭も社会問題になっている。

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 ユニオンとは、パートであれ派遣であれ、業種も関係なく加入できる労働組合だ。2013年、「ワタミ」がブラック企業大賞を受賞したころからユニオンの活動は勢いづいたが、同時期、「日本IBM」では共産党系の「JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)」による解雇撤回訴訟が進行中だった。あるユニオンの幹部の話。

「JMITUの最高幹部は、“社長をノイローゼにさせて自殺に追い込んだら勝ち”と公言する人物です。JMITUは会社だけでなく、社長宅周辺にもビラを撒く」

 結局、日本IBMは解雇撤回と和解金の支払いに応じる事態に追い込まれた。それを機に、JMITUにはリストラ社員の加入が相次いだというが、

「大抵、社員はカンパとして30万円ほどを手渡されます。そのうえで再就職せずに闘争することを強いられ、たとえ和解金を手にしても半分近くをJMITUに吸い上げられる。嫌気が差して脱退しようとすると、“カンパの恩を忘れたか”などの電話が四六時中かかってくるのです」

人権無視の過激な攻撃

 ほかにも、千葉の地場スーパーを経営危機に追い込んだ「コミュニティユニオン東京」や、「アリさんマークの引越社」の労使紛争で名を馳せた「プレカリアートユニオン」などが、ブラックユニオンとして知られている。

 労働問題コンサルタントの田岡春幸氏によると、

「ユニオンが乱立していますが、労働者自らが発足させたものは少なく、プロ組合員、左翼活動家、なかには総会屋からの転職組もいます。人権無視の過激な攻撃を仕掛けるものの、プレカリの顧問弁護士はブラック企業大賞の実行委員だったり、総じてメディアの扱いが巧みです。世論を味方につけたユニオンに監督官庁もなかなか手を出せない状況をつくり出しているのです」

 新たな「労働貴族」というわけか。

週刊新潮」2020年2月6日号「MONEY」欄の有料版では、ブラックユニオンの過激な活動について詳報する。

2020年2月6日号掲載

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