韓国から丸亀製麺が8月15日付で撤退 「1日中食べていられる美味しさなのに」「よくもこの日を選んだな」の声

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熱しやすく冷めやすい韓国人の胃袋を掴んだ

 トリドールホールディングスが展開する丸亀製麺。昨年までに世界12カ国に進出し、その店舗数は1000以上にも及ぶ。発祥の地である日本を聖地とみなし、コロナ前には世界から足繁く通うファンが多かった。日本が誇るうどんチェーンの代表ブランドだ。韓国では2012年にソウル・麻浦(マポ)区に第1号店をオープンしたのを皮切りに、主要都市を中心に最も多い時には12店舗を展開。一時は連日行列が出来るほど大人気だったが、日本製品不買運動及び新型コロナウイルス感染拡大の煽りを受け、今月15日に韓国からその姿を消すこととなった。ホームページも既に閉鎖されており、韓国内では“丸亀ロス”に陥る人が続出している。羽田真代氏のレポート。

 韓国でうどんは国民食と言える食べ物だ。うどんは韓国語でも“うどん”と日本語と同様の発音をする。うどんとよく似たものに“カルグクス”があるが、これは別の食べ物として認識されている。

 韓国内で食されるうどんはソフト麺が一般的で、麺がプチプチと切れやすくコシがない。そのためコシのある麺をウリにする丸亀製麺の進出により、韓国うどん界に革命が起きた。2019年に日本製品不買運動が始まるまで、昼食時間帯になると店前に列がよくできていたものだ。

 安価に日本の本格的なうどんを味わえるため「コスパ最高のうどん」と称賛されており、トッピングなどで自分好みにカスタマイズできるシステムも韓国人にはとても評判がよかった。期間限定で発売される変わり種うどんも「飽きがこない」と、熱しやすく冷めやすい韓国人の胃袋を掴んで放さなかったのだろう。

 転機は2019年7月。日本による輸出管理規制に韓国が猛反発し、かつてなかったほどに猛烈な日本製品不買運動が盛り上がり、丸亀製麺もその対象となった。それでも2年もの間、韓国の不買運動に耐えてきた丸亀製麺であったが、さらに襲ってきた新型コロナウイルスには打ち勝つことができなかったようだ。

日本に行かない限りもう食べられない

 韓国では丸亀製麺の撤退を惜しむ声が多く聞こえる。

「弘大(ホンデ、*エリア名)に行ったら絶対に食べていたのに…残念」「大好きだった丸亀製麺。あぁ…うどんはやっぱり丸亀じゃなきゃ」「1日中食べていられるくらい美味しかったのに。日本に行かない限りもう食べられないのか」など、丸亀愛が伝わってくる内容だ。

 ただ、惜しむ声ばかりではないのも事実だ。

 韓国撤退が終戦記念日である8月15日であったため「よくもこの日を選んで撤退したな。偶然だとは思えない」「店舗名は“神風製麺”の方があっているんじゃないか」といった具合だ。いうまでもないが、韓国にとってこの日は“日本による植民地支配から解放された日”だと考えられている。そのため、この日に日系企業がアクションを起こせば、それを快く思わない韓国民もまた存在するのだ。

 こうした撤退は日本製品不買運動以降、珍しくない。デサント、オンワード、韓国ゲイツなど日系企業が相次いで韓国から撤退。韓国産業研究員の調査によると、2019年まで2ケタ代(16年:58社、17年:80社、18年:68社)に留まっていた韓国から撤退する外資系企業は、19年には173社(うち日系が45社)と3倍近くに急増したという。19年に新規進出企業は56社であったから、韓国経済にとっては大きなマイナスだ。しかも注目すべきは日系以外も多く撤退している点である。主なものを見てみよう。

 2020年はファーストリテイリングの展開するブランドであるGUが韓国進出早々に撤退を表明。同企業は明洞に構えていたユニクロの超大型店舗も昨年に閉店させている。

 長年韓国で事業活動を行っていた日産も、インフィニティブランドと共に韓国市場から撤退することを発表。他の自動車関連企業に至っては、韓国GMが撤退を検討中、ルノーサムスン自動車は生産を大幅縮小、事実上の撤退を表明している。

 2021年に入ってもその流れは変わらず、4月には、シュウウエムラが9月末で韓国から撤退することを発表。6月にはルイ・ヴィトンが韓国の市中免税店から撤退する意向を表明し、7月には世界的コーヒーチェーン・スターバックスコーヒーの米国本社が、韓国で展開する合弁事業の全株式を売却すると発表。日系以外の外資系企業も次々と韓国に見切りをつけているようだ。

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