東京相和のドンが「仏大統領」を接待した「淡島ホテル」夢の跡の詐欺騒動 被害総額は約200億円

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1株1円

 東京相和銀行が破綻したのは1999年。そのトップに30年間君臨したドン、故・長田(おさだ)庄一元会長は、破綻回避目的で不正増資に手を染めたために警視庁に逮捕され有罪判決を受けた。ドンは金融整理管財人から不正増資分の支払いを求められ破産に追い込まれたが、「ファミリー企業」の「淡島(あわしま)ホテル」(沼津市)は生き延びたのだが――。

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 淡島ホテルは、駿河湾に浮かぶ無人島に建てられた高級会員制リゾートホテルだ。政財界に幅広い人脈を持っていた長田元会長が、シラク元仏大統領を接待した場所としても知られる。仏メディアでは「東京相和にシラクの秘密口座がある」と報じられたほどだった。

 2010年にドンが亡くなると、三男の長田浩行氏がホテルのオーナーとして経営を続けてきたが、その舵取りに失敗し、18年4月、手放さざるを得なくなった。

 淡島ホテルの株式を1株1円、計200円で買収したとされるのは「再建屋」の異名を持つ「オーロラ」(名古屋市)なる会社。不動産会社やスマホゲーム業者などの再建を手掛けてきたという。

被害総額200億円

 そんな淡島ホテルで起きた金銭トラブルについて、会員の一人が明かす。

「個人で300万円の会員権を1口購入したのは、14年。翌年には法人でも1口取得し、社員旅行などで利用するようになりました。と同時に、淡島ホテルの営業会社の社員に勧められ、金銭消費貸借契約も結んだ。ホテルに1口300万円の“貸し付け”をすると年2%の利息をもらえるという話でした」

 しかし、オーナーチェンジによって状況は一変。オーロラは、会員に追加で1口当たり約90万円の支払いを求め、支払わなければホテルは使用できないと通達した。一方、貸し付けについては6万円の利息が1度支払われただけで、元本も戻らないままである。

 ホテル側は売却直前まで、このような投資話で客を欺いたばかりか、私募債も購入させていた。ホテル関係者によると、三男の長田元オーナーから「お客さまには利払いを待ってもらうように」とのお達しが出されていたようだ。

 なお、被害者は1000人ほど、被害総額は約200億円に上る。被害者らは「淡島ホテルを守る債権者の会」を組織し、長田元オーナーら経営陣を詐欺罪で告訴する予定という。

週刊新潮」2019年5月30日号「MONEY」欄の有料版では、詐欺被害を訴える会員たちの声を詳報する。

週刊新潮 2019年5月30日号掲載

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