塩崎恭久元厚労相が画策する「学校法人ガバナンス強化」、文科省守旧派と繰り広げるバトルの行方は

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大臣は「知らない」と否定

 そんな事務方の姿勢は、改革会議のメンバー選定からも見えてくる。

「事務方が、『大臣の推薦』だとしてアサヒビール(現アサヒグループホールディングス)の副社長だった本山和夫さんを送り込んできたのです。東京理科大学の前理事長ですが、理科大OBによると現在の理事長は彼の言いなりで、今も実権を握っているそうです。塩崎議員が萩生田大臣に確認したら『(推薦など)知らない』と否定され、事務方は言い訳に必死でした。

 その本山氏はいきなり最初の会議から欠席しました。直後に発売された月刊『FACTA』8月号で、本山氏が理事長だった東京理科大で強権を振るい、当時の学長や多くの教職員が辞める事態に陥ったことなどが報じられており、事務方は否定したものの会議の関係者はそれが原因で欠席したのではと、噂していました。8月6日に行われた2回目の会議には出席したのですが、今度は座長の制止を無視して20分近くも改革反対の大演説を行い、あまりの一方的な発言に、原稿を読み上げていたのではないか、と顰蹙を買っていました。本山氏が改革反対の立場である文科省の代弁者であるのか、それとも本人に特別な狙いがあるのか……、まったく読めません」(前出のガバナンス改革会議関係者)

 もちろんすべての大学理事長が、ガバナンスの強化に反対しているわけではない。ある私立大学の理事長は、こう話す。

「透明な経営を行っていれば、ガバナンスが強化されても困ることはありません。税制上の恩典だけでなく補助金ももらっているので、ガバナンス強化は当然の流れです。むしろ理事会の正当性が高まれば、理事会の決定を関係者全体で尊重しようということになるでしょう」

 日本の法人の中で最も改革が遅れていると言われる学校法人。果たしてその改革の行方はどうなるのだろうか。

デイリー新潮取材班

2021年8月18日掲載

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