TBSサンデーモーニング「女性選手差別」への抗議問題 元々ナゾだった「張本氏」の存在

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古い体質代表の張本氏とリベラルがウリの番組

 日本ボクシング連盟は、TBS系「サンデーモーニング」内で、野球評論家の張本勲氏が女性ボクサーを当てこする発言を行ったことに対し、抗議文を送っていたという。これまで古い体質を引きずるような発言を繰り返してきた張本氏とリベラルをウリにする番組との距離が、図らずも明確になった格好だ。

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 8月8日放送の同番組で張本氏は、東京五輪のボクシング女子フェザー級で入江聖奈が金メダルを獲得したことについて、「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね。見ててどうするのかな? 嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技好きな人がいるんだ」とコメントしていた。「女性でも」「殴り合い」「嫁入り前」「お嬢ちゃん」「こんな競技」……森喜朗元首相の「女性は話が長い」発言などをさんざん批判してきた番組内のコメントとは到底思えない、女性及びボクシングへの差別感満載、時代錯誤極まりないものだったのである。

 これに対して日本ボクシング連盟の内田会長は、「ボクシングを愛している方々のためにも、女性ボクサーを誤解されたくないため、抗議文を出した」と語り、張本氏に対しては「もう少し理解をもって女性ボクサーを見てもらいたい。入江選手、(銅メダル獲得の)並木(月海)選手も礼儀正しく、女性らしい人格を持った選手です。誰に対しても模範となる女性であります。サンデーモーニングさんには、スポーツの楽しさや価値観を伝えていただけるようお願いしたい」と続けた。

 張本氏のある意味で古い体質を引きずる発言は、今回に限ったことではない。

 例えば、2019年7月、岩手・大船渡高の豪速球右腕・佐々木朗希投手(現ロッテ)が夏の甲子園出場をかけた県大会決勝で登板を回避して花巻東に敗れたことに対し、「最近のスポーツ界でね、私はこれが一番残念だったと思いますね。32歳の監督(大船渡・国保陽平監督)でね、若いから一番苦労したと思いますがね、絶対、投げさすべきなんですよ。前の日にね、129(球)投げてますからね。大体、(準決勝までの)予選で4回しか投げてないんですよ。合計で430、450(球)くらいしか投げてないのよ。昨年、吉田輝星(金足農)が800(球)くらい投げているんですよ、1人で」と語っている。

「日本の総理大臣が安倍さんでよかった」

 張本氏はさらに、「監督と佐々木君のチームじゃないんだから。ナインはどうしますか? 一緒に戦っているナインは。1年生から3年生まで必死に練習してね。やっぱり甲子園は夢なんですよ。私は夢が欲しくてね、小雨の路地で泣いたことがありますよ。2年生、1年生も見てるんだから」とも付言した。

 この発言について擁護するもの、真っ向から反対するもの、否定も肯定もしないもの、様々だったが、反対意見で目立ったのは、「甲子園なんてそもそも通過点」「人生は長いし、こんなところで潰れたって誰も責任を取ってくれない」「甲子園で準優勝したけどヒジを壊した沖縄水産の大野投手の悲劇を繰り返してはならない」といった内容だった。

 取材する記者に聞くと、

「そもそもサンデーモーニングはリベラルをウリにしているのに、張本さんはあの番組で他人に『カツ』だ『アッパレ』だと上から目線で評価するわけですよね。それ自体、前時代的というか古い運動部的で、番組のキャラクターとはまったく合っていないんです。その意味でナゾの存在だと感じます」

 実は政治的スタンスも番組とは正反対で、月刊「HANADA」(2017年12月号)に登場し、安倍政権を絶賛したこともある。例えば、以下のように語っている。

《先だって安倍晋三さんに誘われて食事したんですが、日本を命懸けで守ろうとしている気概をひしひしと感じました。(中略)二十四時間、日本のことを考えている。あんな人、ほかにいませんよ。いま、日本の総理大臣が安倍さんでよかったとしみじみ思いましたね(略)》

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