東京五輪とアフターコロナ効果ですでに40万円! 「来年の世界陸上」はプラチナ・チケット化

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きっかけはボイコット

「世界陸上2022」は来年7月15日~24日の日程で、アメリカ・オレゴン州において開催される。通常は2年に1度の開催なので本来ならば今年行われる予定だったが、東京オリンピックと合わせ、こちらも1年延期していた。そのチケットが40万円のバブル状態になっているという。東京五輪効果なのかコロナ自粛に飽きたせいか、あるいはその両方なのか……。(1ドル=109.23円)

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 まずは世界陸上の歴史をざっと振り返っておこう。

 第1回の開催は1983年、フィンランドのヘルシンキにおいてだった。きっかけは80年のモスクワ五輪がボイコットされたこと。

「西側諸国がソ連のアフガニスタン侵攻に抗議して五輪に参加できず、ならば真の世界一を決める場が必要だろうということで創設されました」

 と、運動部デスク。第3回の91年東京大会までは4年ごとに、五輪の前年に開かれていたが、次の93年ドイツ・シュツットガルト大会から2年ごとの開催となった。来年のアメリカで18回目となる。

 今もなお記録として、そして世界の人々の鮮烈な記憶として残るのが、2009年ドイツ・ベルリン大会でウサイン・ボルト(ジャマイカ)がマークした100メートルで9秒58、200メートルで19秒19の世界新だろう。

 さて、そんな世界陸上の来年のチケットがバブル化しているという。

2000ドル超が翌日には3500ドルに

 先のデスクによると、

「開催の約1年前となる7月15日からチケットの販売が開始されると、男子100メートル決勝や4×100メートルリレーなどの注目競技はあっという間に完売しました。そして現在はリセールの場で、ぐんぐん値を上げているのです」

 例えば、男子100メートル決勝となる7月16日夜、4×100メートルリレー決勝を迎える7月23日夜の「グランドスタンド」は8月2日の段階では2000ドル超だったのが、翌日には3500ドルに跳ね上がっている。

「ウサイン・ボルトの引退試合となった、2017年のロンドン世界陸上ではグランドスタンドチケットが7万円程度でした。これは定価なので単純に比べられないにしても、今回のプラチナ・チケット化は目をみはるものがあります。コロナ禍による自粛に飽き、娯楽を求めているアメリカ人の心の中が投影されたということもあるでしょうね」

 そしてデスクはもう1つバブル化の理由を挙げて、こう続ける。

「開催地のオレゴン州ユージーンにあるヘイワード・フィールドは、オレゴン大学の競技場でありながら、オリンピックの全米予選も行われるアメリカ屈指のグラウンドです。2018年6月から2020年6月にかけて改修も行っていました。加えて、ナイキ創業者のフィル・ナイトはオレゴン大学出身で、ナイキ創業の地でもあり、ナイキのデザイン・アイコンとなっている『ワッフルレーサー』を作った共同創業者のビル・バウワーマンはオレゴン大学陸上部の元コーチ。聖地と言える場所での開催が、価格高騰の一助となっている可能性はありますね」

 収容人数はおよそ1万3000。世界陸上をユージーンで開催するというのはナイキの悲願、ひいてはアメリカの悲願でもあったと言えるのだろう。

デイリー新潮取材班

2021年8月4日掲載

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