韓国でコロナ特需を享受する日本ブランド 現地メディアは「いずれ失速する」と言うが

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本田宗一郎氏を激怒させた

 日本製品の不買運動(ノー・ジャパン)が始まる前の19年上期、韓国商用二輪市場の80%をホンダ・ヤマハ・スズキが占めていた。ホンダが大林(デリム)を抜いて1位となり、ヤマハもKRモータースを抜いて3位に浮上した。シェアはホンダ、大林、ヤマハ、KRモータース、スズキの順である。

 しかし、2019年7月、不買運動が拡大し、韓国輸入二輪車環境協会が日本製オートバイを標的にして破壊するパフォーマンスを行った。当初、中古車を燃やす計画だったが、警察署と消防署が許可しなかったため、中古車1台と新車3台を金槌で叩き壊すことになった。

 不買のパフォーマンスのためとはいえ、新車を購入することで図らずも売り上げに貢献することになるとは協会も忸怩たる思いだったことだろうし、他方、販売した小売店主は胸をなで下ろしたことだろう。壊した新車は計1400万~1500万ウォン相当で、協会の会員らが購入しなければ、不買運動の影響で不良在庫化したかもしれないからだ。

 ここで、韓国のオートバイ産業についてざっと見ておくことにしよう。その歴史は1962年に遡る。起亜産業が本田技研工業との提携で生産を開始した後、二輪車事業を大林グループに売却した。また、暁星(ヒョソン・現KRモータース)が1978年、スズキのライセンス生産を開始した。複数企業が二輪車産業に参入したが、日本の技術を受け継いだた2社だけが生き残っている。

 90年代、生産台数が年30万台に達した大林が、ホンダに提携解消を申し入れた。韓国の二輪車市場は100ccから125ccの商用バイクが多数を占めており、ホンダは1958年から発売を開始したC100スーパーカブの技術を供与したが、スーパーカブのコピーで満足したのか、大林がホンダから学ぶことはないと豪語し、本田宗一郎氏を激怒させたという。

韓国製二輪車の出番はない

 2000年代に入って、韓国政府がオートバイの輸入制限を解除すると、ホンダが韓国に進出して提携を解消。大林、暁星、ホンダの3強体制となって他のメーカーは脱落し、3強の一角だった暁星も最終的にはラオス企業に買収された。

 韓国メーカーの主力製品はホンダやスズキから学んだ商用二輪車のコピーモデルで、大型二輪は日本勢のホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキと欧米勢のBMW、ハーレ・ダビットソンなどが競合し、スクーターでは日本の3社とイタリアのベスパなどが競合している。大型車や商用スクーターの技術を得られなかった時点で、韓国メーカーの出番はない。

 2021年1月、勝負に出たのはホンダだった。韓国メーカーが唯一存在感を示すことができている商用二輪市場に、最も人気があるPCX125の21年式モデルを434万ウォンで投入したのだ。日本での販売価格は30万9800円(約324万2000ウォン)で、日本製なら価格差があるのは当然だが、同モデルはホンダのベトナム工場製である。ベトナムからの輸送費は日本より韓国の方が安いから韓国メディアは暴利だと批判、一方のホンダコリアは韓国の環境対策が厳しいせいだと反論し、一歩も引かない構えだ。

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