デジタル庁重要ポストに“疑惑の慶大教授”を推した和泉首相補佐官と杉田官房副長官の非常識

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拳を振り上げたものの……

 まさに、和泉・神成vs.平井という構図が見て取れる。実は、デジタル庁の人事を巡っても、このバトルが続いているのだ。

「デジタル庁では、デジタル大臣の下に置かれ、大臣の補佐から組織や実務の監督まで幅広い業務を受け持つ『デジタル監』が事実上のトップになります。次官級のポストですが、民間人を据えることになっていて、神成さんはデジタル監には自分こそ相応しい、デジタル監になれなくても、庁内に8つはできると言われているセクションの最高責任者のひとりにはなるだろうと思っていたようです」(IT室関係者)

 菅首相に近い官邸官僚によると、デジタル庁の幹部選びは現在、佳境を迎えているという。

「確かに最高幹部のひとりとして神成さんの名前は挙がっていました。和泉首相補佐官と官僚トップの杉田和博官房副長官が推薦していたんです。ただ、日本のインターネットの父と言われ、内閣官房参与でIT分野のアドバイスをする慶應大学の村井純教授は反対していました。そうこうするうち、7月20日前後のことですが、神成さん本人から辞退の申し出がありました。週刊新潮でNECと共同研究を行っていることなどが報じられたので、幹部に就任すれば辞任に追い込まれる可能性もあります。自ら傷つく前に辞退したのでしょう。それにしても、“疑惑”の渦中にある人を幹部に据えようとするとは、和泉さんや杉田さんは何を考えているのやら」

 前出のジャーナリストは、この話を聞いて首を傾げる。

「和泉さんが神成さんを推すのは分かりますが、警察出身で身辺調査にうるさい杉田さんまでが推したのはなぜなのか、みんな不思議に思っています。菅首相の意向が強く働いたのでもなければあり得ないだろうと。というのも、政府のほとんどのシステム関係を受注しているNTTグループと、総務相を務めた菅首相との関係は深く、NTTからすれば子分格のNECと二人三脚の神成さんをデジタル庁の主要ポストに据えておきたかったのではないかと言われています」

 こうなると、平井大臣が行っている「調査」の結果が気になるところだが、前出のIT室の関係者は声を潜める。

「平井大臣はデジタル庁設立に向けて設置されるコンプライアンス委員会に報告すると言っていますが、一般に公開される可能性は低いのです。国民の税金でシステムを作るのですから発注先選定の透明化は必要ですが、菅首相に近いと言われている巨大利権を握るITゼネコンと真正面からぶつかることになり、調査結果を明らかにすることで、平井大臣が就こうと思っていたデジタル大臣の座が取り上げられてしまうかもしれない。調査結果が公開されても、和泉さんや神成さんの名前が明らかになるかも微妙なところですね。平井大臣も拳を振り上げたものの、下ろし場所に困っているのではないでしょうか」

デイリー新潮取材班

2021年7月28日掲載

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