フランス人男性が「子の連れ去り」被害を訴えハンスト中 日仏首脳会談でマクロン大統領が議題に

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「子の連れ去り」被害を訴えるフランス人男性が、国立競技場前でハンガーストライキに入ってから2週間が経過した。「死んでも構わない。五輪中も成果が得られるまで続行する」と男性は語るが、体力は限界に近づきつつある。

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14日目に迎えた開会式

 7月23日午後。東京・渋谷区のJR千駄ヶ谷駅前には、立錐の余地がないほど大勢の人々が詰め掛けていた。東京五輪の開会を祝うブルーインパルスが空を舞い出すと、群衆から一斉に大歓声が上がった。

 そんなお祭り騒ぎの中、人だかりの影に隠れるように、ヴィンセント・フィショさん(39)は、しゃがみ込んでいた。

「とても五輪を祝う気になんかなれないよ。今の僕が考えていることはただ一つ。子供たちに会いたい。それだけです」

 7月10日から水以外は口にしないハンガーストライキを続けてきた彼は痩せ細り、憔悴しきっていた。

頭がぼうっとする

 ヴィンセントさんは3年間、我が子と会えていない。2006年に外資系金融機関の駐在員として来日した彼は、15年に日本人女性と結婚。二人の子宝に恵まれたが、3年前に夫婦関係が破綻してしまい、妻は子供たちを連れて家を出て行った。その後、子供たちがどこにいるかわからなくなってしまったのだ。

「警察、裁判所、役所にいくら掛け合ってもダメだった」。妻がヴィンセントさんからDVを受けたと訴えていることなどが原因で、子供たちの住所が秘匿されてしまったという。

「私は誓ってDVなどしていない。日本の当局は証拠もなしに、妻の一方的な訴えのみを信じて、私と子供たちを引き裂いたのです。フランス政府、国連、メディアに掛け合っても全部ダメ。もう私の体を投げ出す最終手段しか残されていない」

 ヴィンセントさんの行動がSNSなどを通して知れ渡ると、連日、多くの支援者が駆けつけた。ほとんどが、同じような事情で子供たちと会えない“同志”たちだ。19日、20日には超党派で結成されている「共同養育支援議員連盟」の国会議員メンバーも来訪。その度、ヴィンセントさんは立ち上がり、一緒に写真に収まるなど元気な様子を見せていたが、五輪開会式を迎えた23日は一日中、座り込んだままだった。

「足が痛く、立ち上がるのがしんどい。頭もぼうっとする」

 支援者によると、医師の勧めで、1週間くらい前から最低限の塩分やビタミンを取ってはいるものの、体力の限界は近づきつつあるという。

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