夏の甲子園で観てみたいドラフト候補5人 一番の注目は高知「森木大智投手」

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打者は

 4人目は打者だ。昌平(埼玉)の大型外野手・吉野創士である。花咲徳栄・浦和学院の2校が強い埼玉にあって、今まで春夏甲子園出場のない昌平は全国的には無名の高校だろう。だが近年県内ではメキメキと力をつけてきており、昨秋の県大会では初優勝、今春も県ベスト4に食い込んだ。そのチームの中心にいるのが吉野なのだ。

 185センチ、79キロという恵まれた体格の持ち主で高校通算55発を誇る右の強打者である。2年時の7月に行われた練習試合の聖望学園戦では上尾市民球場中堅(121メートル)に豪快な一発を放り込んだ。また、センターからライトに弾き返す強い打球にはプロのスカウト陣も注目しており、3年時の春の県大会2回戦・狭山清陵との試合では両翼99メートルを誇る県営大宮球場で鮮やかな右越え2ランを放っている。

 今夏の埼玉大会は2回戦から登場。3試合に勝利して5回戦に進出している。ここまでは9打数3安打の打率3割3分3厘、1打点。まだ一発は出ていないが、9球団のスカウトが熱視線を送った4回戦の正智深谷戦では4打数2安打1打点と結果を残した。特に2回裏の2死一塁の場面では外角直球をとらえて左中間突破の適時三塁打を放っている。この試合を視察したあるスカウトは「打球の上がりが素晴らしい。走攻守でレベルが高い」と高評価だった。徳栄・浦学の2強を倒すにはやはり吉野のバットが重要な鍵となるだろう。

 5人目は投打“二刀流”の選手を紹介したい。岐阜第一の阪口樂だ。身長186センチ、体重87キロ。プロ注目の4番・エース兼ファーストで、投げては最速143キロ右腕、打っては左打席から高校通算27本塁打を誇る。だが、これまでの最高成績は昨年秋の県大会3位と東海大会ベスト4で、甲子園出場経験はない。

 プロの注目を集めるようになったのは、4強入りした昨夏の独自大会だった。打率5割6分3厘、4本塁打、9打点の大活躍。特にプロ注目の最速153キロ右腕・加藤翼(中日)擁する帝京可児との試合で2本塁打をマークし、度肝を抜いた。1本目は外高めの直球を逆方向の左中間に叩き込み、2本目は加藤翼の149キロ高め直球を右中間に放り込んだのだ。それも中堅122メートルを誇る長良川球場でである。

 今夏は2回戦から登場、2連勝して4回戦に進出している。最初の加茂戦では、8回2安打17奪三振1失点の好投をみせたが、集結した8球団13人のスカウトは3打数1安打1打点だった打撃に注目。「左右どちらにも長打を打てる打者は貴重。上位候補になってくると思う」と投よりも打の評価が高いのである。

 6球団9人のスカウトが視察した次戦では3打数1安打3打点。待望の一発はまだ生まれていないが、強豪ひしめくベスト16以降の試合で豪快なアーチを期待したい。

 この5人のうち、果たして何人が憧れの聖地に立つのだろうか。

上杉純也

デイリー新潮取材班編集

2021年7月24日掲載

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