秋の衆院選「林芳正圧勝・河村建夫惨敗」と「銀座3兄弟の復党」で自民党ボロボロのシナリオ

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地元市長が揃い、県連会長にも仁義を切り

 東京オリンピック・パラリンピックが終われば、永田町は一気に選挙モードに突入する。差し当たって、山口3区での保守分裂選挙と緊急事態宣言下で銀座に繰り出してひんしゅくを買った3人を復党させるか否かが話題になっているのだが……。

 15日、林芳正元文科相(60)は参院山口選挙区からくら替えし、次期衆院選の山口3区に立候補すると表明した。3区には現職の河村建夫元官房長官(78)がおり、大物同士の保守分裂選の様相を呈してきた。

「林さんはこれまで2度、衆院へのくら替えを模索してきましたが、河村さんの壁に阻まれてきました。地元で林家といえば名家で河村家は足元にも及ばない。県連会長の岸信夫防衛相(安倍晋三前首相の実弟)にも仁義を切り、15日の会見では地元の市長も列席し、周到に準備してきた様子がうかがえます」

 と、取材する記者。

「2022年以降の選挙で山口県は現在の定数4が3に減ることになります。岸さん、河村さん、安倍さん、そして高村正彦元外相の長男・正大さんと現職がいる中から1人減ったところへ割り込むのは相当困難だということで、林さんにとって今秋の総選挙がデッドラインだったわけです」

 林氏は会見で、「総理総裁を目指すには衆院議員でなければならない」と主張し、河村氏は「参院議員でも総理になれる」と返し、早くも盛り上がってきた印象だが、

「林さんに自民党から公認が出ず無所属で出馬し、自民党公認で河村さんが出たとして、林さんの圧勝は揺るがない情勢です。河村さんは党の規定で比例との重複立候補が認められないでしょうから、小選挙区で負けると落選、引退になるでしょう」

“松本を戻してやれないか”

 違うパターンはあるのか?

「河村さんが選挙区を譲って比例選の単独立候補に回るなら上位で優遇され、当選確実でしょう。あるいは、出馬を見送る代わりに、後継者と目される河村さんの長男が来夏の参院選で林さんのあとを受けるというやり方もあり得る。最悪なのは、河村さんが所属する二階派の二階幹事長が党の規定を曲げて比例との重複立候補を認めてしまうこと。無所属で後がないと必死に闘っている候補と最初から助からないと匙を投げている候補とでは、有権者の見る目は全く違ってきます」

 二階幹事長は同じ派閥の河村氏を守るため、林氏に対して反党行為を理由に処分をちらつかせているが、そういった圧力のかけ方もまた、有権者には不評を買うはずだ。

 その一方で、選挙絡みで話題となっているのは、緊急事態宣言下の1月深夜、東京・銀座の高級クラブに繰り出したことが発覚し、さらにウソも重なったことで離党を余儀なくされた松本純(元国家公安委員長/衆院神奈川1区)、大塚高司(大阪8区)、田野瀬太道(奈良3区)の3氏。「銀座3兄弟」という不名誉なあだ名もついたこの3人に差し当たって復党の話が浮かんでは消え、消えては浮かんでいる。

「残りの2人は別として、松本さんは麻生財務相の右腕で、麻生さんは事あるごとに、二階幹事長や菅首相の側近である山口選対委員長に対し、”松本を戻してやれないか”と言っています。しかし、この要請については、菅首相のみならず政府与党の幹部が難色を示しており、一筋縄では行かないと見られています」

 と、政治部デスク。

 政府与党幹部らの頭によぎるのは、ロッキード事件で有罪判決が確定した佐藤孝行元総務庁長官の一件だという。

「1997年、橋本龍太郎政権の時でした。第2次改造内閣で中曽根さん(康弘元首相)からのゴリ押しによってその腹心である佐藤さんが総務庁長官として初入閣したのですが、世間の猛反発に遭ってわずか12日で辞任。ロッキードで有罪が確定したのは1986年で、中曽根さんもみそぎは済んだと思ったのでしょうが、閣外協力していた社民党にも愛想をつかされ、内閣支持率は50%台から30%台に急落。翌年夏の参院選で大敗し、政権を失うことになりました」

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