薄毛、抜け毛の対策をプロが伝授 「毛母細胞」を分裂させる食材、「デンキバリブラシ」の効果は?

ライフ 週刊新潮 2021年7月15日号掲載

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 薄毛や抜け毛のメカニズムは年々明らかになっており、治療法も多様化しているが、医療機関を訪れる前に、自らできることはいくつもある。日々の生活習慣から頭皮のいたわり方まで、毛髪を熟知したプロフェッショナルたちが“上手な付き合い方”を伝授する。

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 あらためておさらいすると、薄毛・抜け毛は男女によってその原因が全く異なるものである。

 松倉クリニック表参道の田路めぐみ医師が言う。

「女性の薄毛の原因で多いのは、月経などによる鉄分や亜鉛の不足と、更年期における女性ホルモンの低下です。女性ホルモンには、髪につややかな質感を与えるエストロゲンと、しっかりした毛の成長を支えるプロゲステロンの2種類あります。これらは生活習慣によって多少増減するものの、確実に増やす方法は、ホルモン補充療法以外にありません」

 一方、男性の場合は、

「男性ホルモン作用の中心であるテストステロンが、『5αリダクターゼ』という“悪さをする酵素”によって『ジヒドロテストステロン(DHT)』という物質に変化し、これが毛根に作用して毛周期を短くし、髪の毛が細く短いうちに抜け落ちることで薄毛が発生します。この酵素は遺伝や加齢で活性が上がりますが、それ以外に生活習慣でも変動します」(同)

 というのだ。続けて、

「テストステロンは男性の健康やアンチエイジングに不可欠なホルモン。薄毛の原因はあくまでDHTであり、男性ホルモンが多いイコール薄毛とは必ずしも言えません。『食事』『睡眠』『運動』『ストレス』の四つの対策を十全に行っていれば、テストステロンはそれほどDHTに変換されるものではないのです。そもそも、この四つは密接に連動しており、身体を動かすと成長ホルモンが分泌されるだけでなく、ストレスが緩和されて各種ホルモンバランスが改善し、睡眠の質が高まります。すると睡眠中にも成長ホルモンが分泌されやすくなる。これはもちろん、男女ともに当てはまります」

 かつて“髪は夜作られる”というCMのフレーズがあったが、まさしくその通りというわけだ。

「髪の毛を太く長くする成長ホルモンは入眠直後、深い睡眠に入ったタイミングで大量に分泌されます。ところが、それまでに時間がかかったり、すぐに目が覚めたりしてしまうと十分に分泌されません。入眠後にストンと深くなり、3時間以上続くのが“髪によい睡眠”なのです」(同)

 スムーズに眠りに落ちるためにはコツがあり、

「例えば、睡眠前の入浴は非常に効果的です。風呂で一度体を温めた後、体が冷めてくるタイミングで横になると入眠しやすいといわれています。その際、スマホなどの明るい光の刺激を減らすことも重要です」(同)

亜鉛と鉄は最重要

 睡眠とともに、日常生活の要となるのが食事である。クレアージュ東京エイジングケアクリニックの浜中聡子院長は、

「成長ホルモンは一日のうち7割程度が寝ている間に分泌されるので、日付が変わる前に就寝し、6~7時間程度は睡眠時間を確保したいところです」

 としながら、

「夕食から就寝まで3~4時間は空けるようにしましょう。できれば20時以降は食べない方がいい。寝る直前に食べるとホルモンのバランスが悪くなります」

 もちろん、摂取する栄養いかんで髪への影響は大いに異なってくる。

「まずは、髪の原料である良質なたんぱく質の摂取が不可欠です。毎回の食事で必ず、副菜として肉や魚、卵などのたんぱく源を一品は取り入れましょう。足りない分はプロテインで補うのも有効ですが、摂取カロリーに対してどれだけたんぱく質を補えるかというバランスが大事で、なるべく低カロリーのものがよいでしょう。毎日、体重の数字分(60キロなら60グラム)のたんぱく質が摂れていれば十分です」(同)

 実際に薄毛の患者を診察すると、食生活が乱れ、栄養バランスを崩している人がほとんどだという。

「薄毛の人に多いのは、亜鉛や鉄などミネラルの摂取不足です。髪の毛は、毛穴の奥にある毛母細胞が分裂を繰り返すことで成長しますが、牡蠣や豚レバー、アーモンドなどに多く含まれる亜鉛は、この毛母細胞の分裂に欠かせません。薄毛で悩む方の中には、この亜鉛不足にともなう下痢に悩む人も多くいらっしゃいます」(田路医師)

 同じく鉄についても、

「各種レバー類や赤身肉、カツオ、あさりなどに多く含まれ、酸素運搬やエネルギーを作る役目を担っています。髪を成長させるには大きなエネルギーが必要で、酸素がないとエネルギーは生み出せません。一方で鉄にはコラーゲンを作る働きもあります。コラーゲンは頭皮の厚みを生み出し、髪の生えやすい頭皮を作る役目も果たすのです」(同)

 こうしたミネラル分以外に、ビタミンも髪の成長に欠かせない。

「例えば、髪の毛を作る際に必要な酵素の働きを支えているビタミンB群は、高たんぱく質食材に多く含まれています。つまり肉類やシーフードなどの動物性たんぱく質は、ビタミンやミネラル分も多く“髪によい食材”と言えるのです」(同)

 栄養バランスが整っていると、脱毛症の薬を投与した際の効果も良好だというのだ。先の浜中院長も、

「亜鉛は髪を作る際、酵素の働きにプラスに作用しますが、吸収率が低いのでサプリメントで補うのもよいかと思います。当院では吸収率を上げるビタミンCのサプリを亜鉛と一緒にお出ししています。また、髪の生成を促すビタミンB群では、レバーやピーナッツに含まれるビオチン(ビタミンH)が重要。こちらも当院では1日あたり0・1ミリグラムを目安に処方しています。反対に、脂肪はできる限り摂取を避けましょう。肥満は血流も悪くなり、治療の効果が出にくいことが多いのです」

 加えて、夏場の天敵は紫外線だという。毛髪診断士でヘアケアスペシャリストの余慶尚美氏は、

「これからの季節は、肌だけでなく頭皮や髪の紫外線対策も欠かせません。紫外線は、髪を構成するたんぱく質を変質させて髪のダメージに繋がり、頭皮に炎症をもたらすだけでなく、髪に栄養を送る毛細血管の働きも低下させ、髪をやせ衰えさせてしまう。夏の外出時、特に山登りや海水浴の際にはUV対策を心掛け、髪や頭皮にもまんべんなくUV専用のスプレーやミストをかけ、通気性の高い帽子やスイミングキャップを被るなど、髪と頭皮のダメージを抑えましょう」

 そう警鐘を鳴らす。前出の田路医師も、

「紫外線は活性酸素を生み出し、細胞にストレスを与えます。これを防ぐには抗酸化物質が重要です。代表的なものはニンジンなどの緑黄色野菜、卵やレバー類に多いビタミンA、ピーマンやブロッコリーなどのビタミンC、ナッツ類やカボチャなどに含まれるビタミンEです」

 そして近年、注目されているのがザクロだ。抗酸化作用を持つポリフェノールを多く含んでおり、本誌(「週刊新潮」)7月1日号「若返り」特集でも触れた通り、ザクロを日常的に食べる西アジアの人には薄毛が少ないという。

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