大谷翔平、成功のきっかけは「DX」練習法とグルテンフリー センサーで動作解析する最先端技術

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ジョブズとマスク

 日本時代、大谷はその完全無欠さで「野球サイボーグ」と言われた。メジャーに行き、世界最先端の科学を取り入れて、その感は増している。「体」と「技」の変化は明らかだが、では「心」についてはどうか。

 日ハム時代、大谷は記者泣かせで知られていた。何を聞いてもさしさわりがなく、素っ気ない回答に終始。感情が表に出てこないと言われてきたが……。

「それはアメリカでもあまり変わりませんね」

 と、志村氏が続ける。

「メディアに興味がないようで、自分から出たり、キャッチーなことを言ったりということはありません」

 同氏と共にYouTubeでメジャー情報を発信している地元紙の番記者も、動画内で「コメントは短くてつまらない」「本心を探るのは非常に難しい」と語っているが、

「それだけ真剣に野球に取り組みたいということなのでしょう。実際、本人のコメントが少なくても、プレーが素晴らしいので記事は書けますし……。他の記者も“彼はプレーで楽しませてくれるからそれでいい”と言っています」(同)

 大谷は、恩師である花巻東高校の佐々木洋監督や日ハムの栗山英樹監督の影響で、読書が趣味のひとつとか。愛読書はスティーブ・ジョブズやイーロン・マスク、渋沢栄一や稲盛和夫など、経営者に関してのものが主。こうした書に触れた経験も、不動の精神を形作ってきたのかもしれない。

 改めて、

「時代は変わったな、と思いますね」

 と感慨深げに語るのは、冒頭の村上雅則氏だ。

「私たちの頃は、何が正解かわからないことも多く、“根性”や“勘”に頼ることも少なくなかった。比べて今はデータが細かく揃っていて、予め“答え”が見えていることも。後はそこに向かって、どれだけ努力ができるかが問われるのでしょう。大谷選手はそんな時代の申し子。最新の手法を取り入れ、高みに立つための努力を惜しまなかったからこそ、今があるのだと思います」

 そして、

「シーズン50本塁打まで乗せて欲しいね。毎朝、早起きしてテレビを見ていますよ。彼のお祖父ちゃんだったらなあって思いながら……」

週刊新潮 2021年7月15日号掲載

特集「スポ根は終わった…『大谷翔平』をサイボーグにした『DX革命』」より

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