“ぼったくり男爵”、IOCバッハ会長がどうしても広島へ行きたかったワケ

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IOCからの催促

「3兆円レベルに膨れ上がってしまった関連経費を前にすれば焼け石に水とはいえ、入場制限をかけてでも入場料収入を得たい、“だから有観客で”というのが組織委員会の考え方でした。加えて、国民の盛り上がりを狙ったということもありますが、仮に観客を入れるならば、スポンサーや五輪貴族的な人たちの席は別枠で用意してくれというような催促もIOC側からあったようです」(同)

 世界平和という正義を盾に、様々な無理難題を開催国・地域に要求してくるさまが窺える。

 さて、3日間の隔離を終えて始動したバッハ会長は、やはりと言うべきか、日本人の感情を逆なでするような発言をしてしまった。

 7月13日、組織委の橋本聖子会長を表敬訪問した際のこと。日本人の安全を訴えるシーンで、「(略)そして今、私たちの共通の目標は、すべての人にとって安全で安心な大会であることです。選手たち、すべての代表団、そして最も大切なチャイニーズ・ピープル……(あ、いや)ジャパニーズ・ピープルにとってです」と“言い間違え”たのだった。

「少し前にイギリスの外相が中国を訪問した時に、自分の妻が中国人であるにもかかわらず、なぜか、“私の妻は日本人で……”と口にしたことがありましたね。通常ならあり得ないはずのことがついウッカリ口から出てしまうということはままあり、悪意はないのかもしれません。が、バッハ会長に対して好印象を抱いている日本の人はそう多くないので、さらに五輪への印象を悪いものにしてしまいましたね」(先の記者)

ノーベル平和賞を狙っている

 国連の「五輪休戦決議」の期間が始まる16日には、組織委の橋本聖子会長らを従え、被爆地の広島を訪問予定だ。

 自民党のある閣僚経験者によると、

「いつ・どこへ行って、ここを回って、メディアの前でこう話して……という細かい指示というか要望がバッハ会長から来るそうです。広島に行きたいと言ったのも当然彼自身。これまでも政治的な動きをしていましたが、残りの会長任期をかけて“世界平和のため”に奔走し、最終的にはノーベル平和賞を狙っていると聞きました。その意欲も隠さないようなんです。とはいえ、訪問予定の7月16日は、アメリカで人類最初の核実験が行われた日なので微妙な感じもします。被爆者や被爆地をおもんぱかる気持ちがあれば、その日は選ばないような気もしますが、そこまで理解しているか……」

 広島市では、訪問を受ける平和記念公園内の慰霊碑、資料館、祈念館、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館について一時的に立ち入り禁止や閉館する。ここ10年の中で海外要人の訪問でそのような態勢を取ったのは、16年5月のオバマ米大統領、19年11月のローマ教皇などわずか3例しかないというから、相当なVIP待遇であることは間違いない。

デイリー新潮取材班

2021年7月16日掲載

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