グローバルダイニングが瀕死の外食産業で一人勝ち 「深夜営業」「酒」提供で奇跡のV字回復

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訴訟も継続中

 飲食チェーン「グローバルダイニング」が東京都に賠償を求めた裁判の第2回口頭弁論が7月9日、東京地裁で行われた。

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 グローバルダイニングは3月、新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)に基づき、営業時間の短縮を命じられた。

 これに同社は「営業の自由を保障した憲法に違反する」などと主張、東京都に対して104円の損害賠償を求めた。金額が少ない理由は「損害賠償が主目的の訴訟ではない」と説明している。

 裁判の行方に関心を持つ人は多いだろう。そして外食産業では、別の観点からもグローバルダイニングが注目されているという。関係者が明かす。

「少なくとも関東圏の外食産業で、グローバルダイニングが唯一の勝ち組だというんです。営業時間の短縮やアルコール提供の自粛要請に応じている店舗は、売上が下がって当然です。ところが同社は夜遅くまで営業しているし、酒も堂々と出しています。客数や客単価はコロナ禍前の水準を維持していると考えられ、だからこその“圧勝”というわけです」

 グローバルダイニングの公式サイトで調べてみると、海外店舗を除くと15のチェーン名が記載されている。この中で特に知名度が高いのは、イタリアンの「カフェ ラ・ボエム」、エスニック料理の「モンスーンカフェ」、和食の「権八」といったところだろう。

 特に「権八」は2002年に当時のブッシュ大統領が来日した際、小泉純一郎首相が夕食の席を用意して話題になったことがある。

深夜営業に酒の提供

「ラ・ボエム」、「モンスーンカフェ」、「権八」で、営業時間やアルコールの提供がどうなっているか調べてみた。すると、それぞれの公式サイトでは、わざわざ断り書きが用意されていることが分かった。文面は、ほぼ統一されている。以下のような具合だ。

《当社はこの度の緊急事態宣言下、またまん延防止等重点措置の下におきましても、時短・休業要請には応じず、平常通りの営業を続ける方針です》

 この後に《酒類につきましても、提供させていただきます》と明記した一文が続く。

「グローバルダイニングが運営するレストランが人気を博したのは、深夜営業が消費者の支持を集めたからです。内装にこだわり、夜中でも質の高い料理やアルコールを提供したことでファンを増やしました。そうした“経営理念”をコロナ禍でも貫いたわけですが、当然ながら現在でも賛否両論を引きおこしています」(同・関係者)

 グローバルダイニングは1999年、東証2部に上場した。公式サイトには経営に関するデータが開示されており、これを使ってコロナ禍が同社に与えた影響を振り返ってみよう。

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