毎回不評の「菅会見」 ダメな理由は話し方や内容ではない、もっと根本的な理由があった

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リーダーシップの欠如

 首相にしてみれば、「専門家でしか答えられない質問が出た時のため」に傍に控えてもらっているのだろう。

 だが深谷氏は「尾身会長が立っていたことで、有権者に間違ったメッセージを与えてしまったはずです」と言う。

「会見の様子を見ながら、『菅首相はコロナ対策に自信がないんだ。自信がないから尾身会長に傍に立ってもらっているんだ』と判断した人が多数を占めたと思います。1人で毅然として立ち、マスコミの質問に答えるからこそ、有権者はリーダーシップを感じ取るのです。尾身会長を横に立たせた菅首相は、かなり致命的なミスを犯してしまったと言わざるを得ません」

 そもそも、どんなに優秀な政治家が首相だったとしても、コロナ禍という未曾有の危機に立ちむかうことは簡単ではなかっただろう。

「特にコロナ対策は、防疫面では人流を抑える必要があります。一方で、経済面では不景気にならないよう、人やモノの流れを維持させなければなりません。まさに相反する政策が求められるわけです。うまくいかなくて当然ですし、解決の鍵を握るのはワクチンです。とにかく、今の菅首相は忍の一字で、ワクチン接種率の上昇に全力を注ぐしかありません」(同・深谷氏)

もし“平時”なら……?

 小泉純一郎元首相(79)は、“ワンフレーズ”で有権者を沸き立たせた。菅首相は苦手だろう。だが深谷氏は「今のままでいいのです」と擁護する。

「小泉さんは昔から、キャッチフレーズが得意でした。首相になってからは、見事に有権者を熱狂させましたから、長期政権を樹立した一因だったと思います。しかし、小泉さんは熱狂させるだけですから、後始末が大変でした。それに比べれば、菅さんのスピーチは誠実で飾り気がなく、実は悪くはありません」

 今はコロナ禍という“戦時”だから魅力が伝わりにくいが、もしも“平時”だったら、これほど有権者の不評は買わなかった可能性があるという。

「今でもチャンスはあると思っています。先日の会見でも、菅首相は『ワクチン接種率4割』を1つの目安にしていました。4割に達すれば、風向きが変わる可能性があります。例えば半年後、菅首相の喋り方も、スピーチの内容も変わらなくとも、有権者は一転して好意的に受け止めるようになった――。そんな未来が来ても、不思議でも何でもないと思っています」(同・深谷氏)

デイリー新潮取材班

2021年7月14日掲載

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