食事中の咀嚼音、武勇伝…おじさんが嫌われる原因は? 改善法を伝授

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「大人の余裕」を

「中高年の男性でどんなところが気になりますか?」という質問に対し、私の生徒さんたちからは、「くしゃみ・咳・あくび」という三大不作法の答えが返ってきました。

 女性の場合、くしゃみにせよあくびにせよ、なるべく人様に聞こえぬよう小さく……と当たり前に気を遣うものです。「先生、どうすれば上品なくしゃみができますか?」と真面目な顔で質問されるほどです! それに引き換え、オジサマ方のくしゃみはとにかく大きい。「だって、思い切りした方が気持ちいいから」という理由のよう。

 あくびに至っては最低限のマナーである口元を覆うこともせず、声まで添えて周りを平気で不愉快にさせます。手を当てないままの咳も然り。このような振る舞いを、他人はなかなか注意ができないものだからこそ、自身で律すること、あるいは、ご家族が指摘してあげることが必要です。

 奥様方、ご主人の評価のためにもぜひ優しい言葉で気づかせてあげましょう。「『週刊新潮』に取り上げられていたんだけど……」と切り出してもいいかもしれません。あとは、ご主人の目のつくところに、こっそりと私の本や「週刊新潮」を置いてみてください。

 周囲を不快にさせてはいけない――、という道徳的な観点からだけではなく、誰からも「素敵なオジサマ」と思われる振る舞いをした方が断然お得であることを知っていただきたいのです。まずは口元を押さえることから始めてみましょう。

「週刊新潮世代」の殿方で、「レディファーストを意識している」と言える方はどれだけいらっしゃるでしょう?

 残念ながら私の経験上では、そんなことを全く考えていない男性が圧倒的に多いと感じています。だからこそ「After you」精神をお持ちのスマートで粋なオジサマに遭遇すると、とても感激してしまうのです。

 何も欧米人のようなレディファーストをしろと言っているのではありません。これだけ女性の社会進出が進んだ現在、ほんのちょっとしたことで女性に好印象を与えられます。

 まず、いつもガッカリさせられ、落胆するのがエレベーターホールでの場面。最初に待っていた私をグイッと押しのけて一番乗りするオジサマもいれば、私より先にいらしていたのに、エレベーターの扉が開くと同時に、ご自身の身体を一歩引いて、サッと手を出し、私を誘導してくださるエスコート完璧オジサマも。もし言葉掛けやジェスチャーが照れくさければ、乗った後でも、女性が先に降りられるように「開」ボタンを押すだけでもトライしてみてください。

 ビルのエントランスや商業施設のドア付近においては、もしかするとエレベーターよりご無礼な振る舞いが目につくような気がします。後ろから人が続いているのに、開けたドアを押さえずに、そのまま行ってしまうケースです。

 すぐ後ろから続いて入ろうとしている女性にとって、最初からドアを開けるより、閉まりかかった重いドアを押す方がさらに大変なことを想像していただきたいものです。

 レディファーストやエスコートなんてカッコ悪い、照れくさい、そんなもの今さらできない、とお思いかもしれませんね。なにも女性の立ち座りの度に椅子を引いてください、と言っているわけではありません。

 エレベーターに乗りこむ順番をちょっと譲るだけ(だからといって、エレベーターが出発する時間は変わりません!)、開いたドアを片手で2~3秒押さえておくだけで、ほとんど労力の掛からない気づかいをしてくだされば嬉しいだけです。

 ましてや、こうしたマナーは高齢者が増える中、力が弱い高齢の方にとっても感謝されるマナーであるに違いありません。

 私たちは、日本の殿方たちに、「大人の男ならではの俯瞰力と余裕」を見せてほしいのです。

「粋」で「格好いい」

 さて、耳の痛いお話の数々をここまでお読みくださり、ありがとうございます。もちろん「そんなこと言ったって、オバサンの方こそ」「不躾な若者だってたくさんいる」とおっしゃりたいお気持ちもお察しします。確かに、ご迷惑なオバサマや若い方の迷惑行為も目につくでしょう。私たち女性も反省すべきことはたくさんあります。ただ、これまで長いこと社会に君臨してきたオジサマにこそ大人の男として、若者や女性たちのお手本となっていただきたいのです。

「品格」と「育ち」を感じさせる、「粋」で「格好いい」オジサマとして! ですので私としては、ご一緒に見直していただきたいことはまだまだ山ほどあるのですが、「いまさら聞けない冠婚葬祭の常識」「第一印象、本当にそのままでいいですか?」「オジサマに欠けているのはやっぱり清潔感だった」などのトピックも気になる方は、ぜひ拙著にてご確認いただけますと幸いです。

 マナーに限りませんが、私たち女性も「オバサンだから」「あと10歳若ければ……」「どうせ私なんか」「知ってる人とは会わないし(だから外見なんてどうでもいい)」などとできない理由を並べるのは得意です。やれない言い訳を探すのはとても簡単です。オジサマですと「俺はこのやり方でいまの地位を築いてきたんだ」も、でしょうか?!

 私たちは生きていく限り、世の中が変化していく限り、自分自身の進化も必要です。みなさまとご一緒に私自身も自分を見直し、そして、育てていきたいと思いながらこの原稿を書かせていただきました。

諏内えみ(すないえみ)
「マナースクール ライビウム」「親子・お受験作法教室」代表。皇室や政財界をはじめとするVIPのアテンダン卜指導などを経て、スクールを設立。本物のふるまいや会話、上質なマナーの指導を行う。

週刊新潮 2021年7月8日号掲載

特別読物「累計46万部『「育ちがいい人」だけが知っていること』著者が指南 女性が『絶対見たくない』『近づきたくない』男の所作」より

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