小池都知事の国政復帰、どれくらい可能性があるのか?

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小池人気の強さを見せつけた

 4日投開票の東京都議選で、地域政党「都民ファーストの会」が、前回選挙から議席を減らしたものの、31議席を獲得。当選都議による無免許運転事故で除名という笑えないオチはついたが、従前の大劣勢予想を挽回し、自民・公明両党による過半数獲得は阻止したことで、特別顧問を務める小池百合子都知事の存在感は高まり、警戒感もまた強まっている。取り沙汰される国政復帰はどれくらい可能性があるのか、レポートする。

 都民ファは選挙前の予想で「獲得議席は一ケタに留まって大惨敗。解党を余儀なくされる」という見方もあった。それがフタを開ければ31議席と、大きく挽回した格好だ。

 取材する記者によると、

「都民ファが予想以上に善戦し、自公で過半数を獲得できなかったことについていくつか要因が考えられます。1つは東京五輪開催への根強い反発ですね。観客を入れての開催まで菅首相が強引に進めているというイメージが強く、それへの反発の一部が都民ファや立憲に流れたと見ています。実際、五輪に関することはIOCや政府、東京都などによる5者協議で決めることになっていて、菅首相の独断ではないのですが、都民はそう見なかったということになるでしょう」

 もう1つは、

「小池さんの影響力の大きさ、でしょうか。告示直前に疲労で入院した際には、“自公と水面下で握っているから表立って都民ファの応援に行けない。そのための口実だ”“病室内でスクワットしていて実は元気だ”などといった噂が流れましたが、選挙戦の終盤で退院して復帰し、都民ファの候補者の応援に入り、メディアがそれを追いかけることで自公が霞んでしまいましたね。入院中は体調を心配する声も強かった印象があり、『小池人気』の強さを肌で感じました」

基本的に選挙は全敗の菅政権

 一方で人気のなさを露呈したのが、菅首相だ。

「菅さんは今年に入って与野党が激突した選挙で基本的に全敗しています。具体的には、山形知事選、千葉県知事選、衆院北海道2区補選、参院長野選挙区補選、参院広島選挙区再選挙、静岡県知事選、そして今回の東京都議選。特捜検察の捜査の影響などで候補者を立てられず不戦敗となった選挙もありますが、都議選で自民は60人擁立して当選は33で、これは過去2番目に少ない数字です」

 と、政治部デスク。都議選も含め、こういった選挙と国政選挙は別物だという指摘がないわけではない。

「確かにそうです。都議選を仕切ったのは菅さんではありませんしね。ただ、2009年は都議選で惨敗し、その後の解散総選挙で政権交代を許したという苦い記憶があります。これだけ菅政権で負けが混むと選挙に弱い人というイメージがついてしまうのは避けられません。とにかく国政選挙に強かった安倍前首相とは対照的です」

 となると、今秋やってくる解散総選挙の顔として菅首相はふさわしいのかという声がくすぶってくるわけだが、

「その声は今に始まったことではなく、長らくくすぶっています(笑)。しかし、自民党内の派閥の力学で見てみると、細田派と麻生派で4割以上を抑えており、それぞれに所属する安倍前首相と麻生財務相のお眼鏡に適うか否かが最大のポイントです。今のところ2人とも、“コロナ禍で菅さんはよくやっている。自民党がみんなで選んだ総理総裁を1年で引き摺り下ろしたとして、それで国民の理解を得られるのか”と、菅支持で一致しています」

 もっとも、これを裏返せば、菅首相の後を襲う有力な候補が不在だということでもある。

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