韓国大統領選に出馬表明 “死神”こと尹錫悦前検事総長とその妻をめぐる「Xファイル」の中身

国際 韓国・北朝鮮 2021年07月06日

  • ブックマーク

妻の資産は6億円超

 6月19日にチャン氏は「尹前総長と妻、義母の疑惑が記述されたファイルを一部入手した」と自身のSNSに投稿、「尹前総長に期待していたが、このような疑惑があってはとても国民に選ばれないだろう」と合わせて述べている。

 Xファイルには冒頭に述べた尹氏の義母にまつわる疑惑も記述されており、この他には彼の妻、つまり収監された義母の実の娘である金・ゴンヒ氏についても記述されていた。
 そこには、彼女が風俗店のホステス出身で源氏名をジュリーという、といった記述があるという。また、尹氏と結婚する前には、既婚男性である検察高位職要人と同棲までしていたという。彼女はそういった話をひとまず全否定したが、メディアに登場した前出の秋美愛前法相は「ジュリーという人物について聞いたことがある」と答えるなど、これらの話はしばらくくすぶり続けそうだ。

 過去はともかく金・ゴンヒ氏は現在、立派な成功者なのも事実。彼女は「コバナコンテンツ」という会社の経営者だ。この会社は展示会の企画及び投資を事業としており、2008年にカルティエ・コレクション展をはじめ、シャガール、ゴッホ、ゴーギャン、ジャコメッティの展覧会を実施し、韓国ではそれなりに知名度がある。

 2019年に公表された高位公職者定期財産公開によると、尹氏が届け出た資産は約6億6000万円で、うち尹氏名義の預金は約2140万円。残りは金氏の資産(土地:2000万円相当+預金:4億9720万円+1億2000万円相当の不動産)だった。

学歴問題や株価捏造疑惑も

 差し当たって、尹氏に加え金氏も捜査及び検証対象とされており、彼女の学歴やプロフィール、職業、財産など全てが検証されている。例えば2008年に「金・ミョンシン」名から現在の名に改名していることは既に公にされているが、その理由や高校・大学を本当に卒業したのかという学歴問題や株価捏造疑惑などがそれに当たる。

 韓国に限らないが、大統領選前には“ネガティブ・キャンペーン”が繰り広げられ、スキャンダルが伝えられるのが常だ。

【15代大統領選挙】保守系の李会昌(イ・フェチャン)氏が革新系の金大中(キム・デジュン)氏の支持率低下を狙って、北朝鮮側への工作を画策するも奏功せず、金大中政権が誕生。

【16代大統領選挙】李会昌氏の兵役不正疑惑事件。兵役不正関連の供述が盛り込まれた録音テープまで提出されたが、証拠改ざんが明らかとなり事実無根となったが失地回復には至らず、廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権が誕生。

【17代大統領選挙】革新系の李明博(イ・ミョンバク)氏による株価操作関与疑惑。保守系の朴槿恵氏が李明博のXファイルを検証資料として提出したが効果なく、李明博政権が誕生。

【18代大統領選挙】盧武鉉前大統領の西海北方限界線(NLL)放棄発言疑惑。これにより大統領選の風向きが変わり、朴槿恵氏が文在寅氏を僅差で下す。

【19代大統領選挙】文在寅の息子であるジュンヨン氏の就職不正疑惑。当時、国民党が公表した録音ファイルが事実無根と結論づけられ、結局、文在寅が勝利。

 金・ゴンヒ氏は「時間が経てばすべてのことが明らかになる」と語っている。醜聞や疑惑を体験するのは、この国の長となる者とその関係者にとって避けられない茨の道なのかもしれない。

羽田真代(はだ・まよ)
同志社大学卒業後、日本企業にて4年間勤務。2014年に単身韓国・ソウルに渡り、日本と韓国の情勢について研究。韓国企業で勤務する傍ら、執筆活動を行っている。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月6日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]