ビートたけしが恩人バンダイ相手に泥沼訴訟 映画の著作権を巡り

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たけしにとって「大恩」がある会社

 ビートたけし(74)が、自身の監督作の著作権を巡り、バンダイナムコグループの「バンダイナムコアーツ」を相手取って訴訟を起こしたことが明らかになった。なぜ、長らくビジネスを共にしたパートナーともいえる会社を訴えることになったのか――。

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 物騒な訴状が東京地裁に提出されたのは今年2月10日のことだった。原告は北野武、つまりビートたけしご本人。被告と記されたのは「バンダイナムコアーツ」。バンダイナムコグループで映像コンテンツの制作などを主とする会社だ。古参の映画プロデューサーが、両者の深い縁について明かす。

「これまでたけしさんの撮った全ての映画をビデオやDVDで販売してきた。しかもそのほとんどの作品については出資し、製作者に名を連ねています。たけしさんの作品は、評価はともかく、興行的にはそれほど旨味がないのは業界では知られていますが、それでも30年間に亘(わた)って支えてきた。たけしさんにとって、大恩ある会社ですね」

 その“恩人”をなぜ訴えたのか。訴状を見ると、たけしの訴えは以下の通りである。

「自分は、『HANA-BI』や『座頭市』などの映画15作品について、脚本を書き、監督を務めた『著作権者』である。しかし、国内はともかく、これらの海外使用については、許諾を与えていないのに使用され、しかも対価が一切、支払われていない。著作権侵害に当たるから、損害賠償せよ――」

 だが、たけし映画のほとんどは複数の社が出資し、「製作委員会」などの形を取って製作を担ってきた。そして、幹事社として利用の仕方を実際に決めてきたのは「オフィス北野」(現・TAP)である。つまり、本来訴えられるべきは同社なのだが、2018年にたけしは森昌行社長と対立して独立、新事務所「T.Nゴン」に移籍した。規模縮小を余儀なくされた「オフィス北野」は映画の権利をバンダイナムコアーツに譲渡したため、今回被告となったのだ。バンダイナムコアーツ側の主張はこうだ。

「本件の映画の著作権は、『製作委員会』等にある。それは著作権法にも明らかだ。万が一、そちらが主張するように、著作権が『北野武』にあるとしても、あなたは当時、幹事社の『オフィス北野』の取締役だった。『北野』があなたに無断で利用するなど、信じ難い――」

 では、裁判の行方はどうなりそうなのか。著作権法に詳しい、金井重彦弁護士は「北野さんが劣勢になる」と言う。そもそも映画は監督ではなく、実際にお金を集めた者が権利者になるのが法の規定。バンダイは「北野」から権利を引き継いだ18年12月以降については支払いを明言しているが、

「『北野』の権利を引き継ぐにあたり、それ以前の債権債務まで引き継ぐ契約をしていないでしょうから、以降はともかく、それ以前の使用料までバンダイに寄越せというのは無茶な話です」

 当のたけしサイドに訴訟について尋ねてみると、「訴訟係属中のため回答を控えさせていただきます」。バンダイナムコアーツも、「北野監督とは第1作以来のお付き合いであり今回のような係争に発展いたしましたことを大変遺憾に思っています」と回答した。

 現在の妻と再婚してから金銭面にシビアになったと言われるたけし。7月1日発売の週刊新潮では、これまで金にこだわらなかった彼が“変節”したきっかけと言われる「再婚妻」と併せて詳報する。

週刊新潮 2021年7月8日号掲載

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