「武見敬三」参院議員が行った「動画配信」に異論噴出 「闇寄付」の温床になる可能性も

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 緊急事態宣言の折、世間はどこもかしこも「自粛」である。しかし、現下の医師会会長が「寿司デート」で美味い魚と高級シャンパンに舌鼓を打っていたように、今度は「医師会ベッタリ」武見敬三参院議員(69)が政治資金パーティーで金集めに勤しみ、物議を醸しているのだ。

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 武見議員の父は日本医師会会長を務めた故・武見太郎氏、後援会長は東京都医師会会長の尾崎治夫氏で、医師会と密接な関係にある。その武見議員の政治資金パーティーが今月7日、都内のホテルで予定されていた。主催は武見議員が代表を務める政治団体・敬人会。会費は2万円だった。

「宣言下で議員のパーティーは延期や中止を余儀なくされています。そこで武見さんはリアルではなく“オンライン”でパーティーを開こうと目論んだのです」(政治部記者)

 しかし、オンラインでのパーティー開催には問題が生じる。政治資金規正法には政治資金パーティーについて、「対価を徴収して行われる催物」と定められているからだ。

「催物とは人を集めた会合のことなので、オンラインでは催物になりません」(総務省担当者)

 すなわち、対面以外のパーティーの開催は法的に認められていないのだ。そこで武見議員は一計を案じた。当日行われた日本製薬工業協会前会長との対談をホテルから動画で配信し、パーティーではなく「動画配信事業」として行ったのだ。実は今年の3月にも似た形式で東京都医師会の尾崎会長と対談し、その様子の動画を公開。パーティーもどきの「事業」を行っている。

 さる国会議員は訝(いぶか)しむ。

「政治資金パーティーはパー券の収入から経費を差し引いた利益を政治活動に使っていいということになっています。ただ、事業にした場合、2万円の参加費が適切だったかどうかが重要です。対談の動画視聴料が参加者にとって高すぎる場合、それは参加者から主催する政治団体への寄付になります。また、法人から政治団体への寄付は禁じられているので購入してもらった場合は返金しないといけなくなります」

 実際に武見議員の支援者はこう不満を漏らすのだ。

「オンラインでは議員と話をすることも、参加者との名刺交換もできません。面白くもない対談に2万円は高すぎますよ」

「闇寄付」の温床

 当の武見事務所は、

「参加費は武見敬三の政策及び言論活動に対しての適切な対価と考えます」

 と回答するが、さらに別の問題も。政治資金パーティーの場合、同一人物が購入するパーティー券の額について上限がある他、大口の購入者については収支報告書に記載する義務がある。しかし、事業として行う場合は上限も記載義務もなくなる。特定の人物が大量に参加費を払ってもノーチェック。闇献金ならぬ「闇寄付」の温床になりかねないのである。

 政治資金に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が指摘する。

「政治団体に報告書の提出を義務付けて、政治資金の流れを明らかにするために政治資金規正法は存在します。これでは法律の趣旨に反することになります」

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は手厳しい。

「いまはコロナ禍で飲食店がいつ潰れるか分からない時です。批判の目をかいくぐり、金を集めるのが、政治家として正しい行動なのでしょうか」

 治療で仁愛の徳を施すからこそ、「医は仁術」。算術に走ってはいけないことは政治家も同様に違いない。

週刊新潮 2021年6月24日号掲載

ワイド特集「郵便配達は二度ベルを鳴らす」より

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