森喜朗騒動の「わきまえない」女性2名が理事から外されていた 本人は「声を上げたから外されたと世間は見る」

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 喉元過ぎれば熱さを忘れる。今では誰も話題にしない森喜朗元総理の「わきまえない女」騒動。だが秘(ひそ)かに、騒動は尾を引いていた。

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「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」

「(東京五輪)組織委員会に女性は7人くらいおりますが、皆さん、わきまえておられて」

 森氏のこの発言を機に、日本中が森バッシング一色に染まった4カ月前の大騒動。森氏が隠然たる影響力を持つとされる日本ラグビー協会は、「わきまえない女理事」がいるために会議時間が長くなった――この発言が猛批判の対象となったわけだが、そのわきまえない女のひとりと目されたのが、同協会の理事で、大阪芸大客員准教授の谷口真由美氏(46)だ。ラガーマンを父に持つ彼女は当時、

「(森氏に睨まれているとしたら)大変光栄な話ですよ」

 と、強気に答えていたが、彼女が今、「政治的なパージ」に遭(あ)っているという。

「(もうひとりのわきまえない女と言われる)稲澤裕子さん(昭和女子大特命教授)と私は、森さんの騒動の時に声を上げたから今回外された。世間はそう見るのではないでしょうか」

 改めてこう語るのは谷口氏ご本人である。今月2日、日本ラグビー協会の理事会が開催され、谷口・稲澤の「わきまえない女コンビ」が、ともに同協会理事から外れることになったのだ。

新任女性理事は体制派?

「当時、森さんの発言に対して、私は表立って持論を述べた。このことで、『日本ラグビー協会は女性理事でもちゃんと発信できるじゃないか』と評価する声をいただきました。協会の外からは。でも、協会の中では全くと言っていいほど評価されず、労(ねぎら)いの声もなかった。だから今回、私が理事から外されるのは、やっぱり『わきまえない女だから』と捉えられても仕方がないと思うんですよね」(同)

 一方のラグビー協会は、

「新任の理事7人を全員女性にする予定です。今回の人事は『谷口外し』などではなく、それどころか女性の重用を進めているではないかというアピールですね。しかし、その新任の女性理事には、官僚上がりや経済界の人が就任予定で、体制派というか、ちゃんとわきまえてくれそうな人たちになりそうです」(協会関係者)

 ある協会幹部がこぼす。

「スポーツに政治を持ち込んではいけないなんて言いますが、現実は、日本のスポーツ界は政治と無縁ではいられない。ラグビー協会の評議員を見ても、小渕優子さんとか、遠藤利明さんとか、自民党の代議士が名を連ねている。そりゃ、谷口さんみたいな人は鬱陶(うっとう)しいでしょう」

 なお小渕氏といえば、父親である恵三氏の急逝後、悪名高い「五人組」による密室人事で後任総理の座に就いた森氏とは縁浅からぬ関係にある。また、遠藤氏は森氏の「スポーツ族議員の側近」(運動部記者)として知られている。

 日本ラグビー協会の森重隆会長に、わきまえない女騒動を踏まえ、森元総理に忖度した結果が「谷口外し」なのかと尋ねたところ、

「全く関係ない。それは関係ないです。ないです。全くないです」

 と、やや過剰気味に否定し、鉄壁のタックルで森喜朗氏をガードするのだった。

 わきまえてる男、ここにあり。

週刊新潮 2021年6月24日号掲載

ワイド特集「郵便配達は二度ベルを鳴らす」より

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